第9話 涙を禁じえない女子スキージャンプ

 やりましたおれごん未来! 決勝進出です! 強かった独学館高校を退けおれごん高校が決勝戦進出を決めましたあああっ!


 こうやって書くと本当になにかを成し遂げたような気がしてくるから不思議です。

 今日で12万7千字、ついに決勝戦に突入です。

 ここは混迷を極める予定でして。しっかりと時間を使って描きます。




 WBCの侍JAPANの活躍はまるで漫画だったそうで。野球を題材に作品を書いている方々の心中をお察しいたします。フィクションを超えてくる現実なんて、もの書きからしたら悪夢でしかないですよね。


 将棋も同様ですね、多少の大活躍では藤井先生に勝てません。それ以上に盛ったなら「やりすぎでしょ」と言われそう。

 この辺りフィクションを描く方々は苦労されることと思います。逆に腕の見せどころなのでしょうが。


 竜王になる将棋作品とか、女子スキージャンプの作品とかありますよね。こんなこと言っていいのかわかりませんが、正直災難ですよね。大変なご苦労があるものと愚考いたします。


 女子スキージャンプには、かつてオリンピック競技に含まれていなかったことでそこにドラマが存在していたんです。

 ノノノノという作品がありまして。

 男装して男子の大会に出る主人公は、低身長からくる板の短さと体格という大きなビハインドにもかかわらず勝ちを重ねる姿が痛快でした。

 ところが現実では女子についてもオリンピックの公式競技採用が決まり、女子の身でありながらという主人公の逆境があっさり取り払われてしまいます。この影響により、どうしても獲得しなければならなかったオリンピックの金メダルが、女子として登録すればすぐにでも獲れそうな距離感になってしまいました。なにせ男子に混ざっても勝てるような主人公ですから、女子の大会なら楽勝でしょう。


 ちょうどその頃からでした。その大転換で執筆に悪影響が出たのでしょうか、みるみる作品の輝きが失われていって。

 「作中世界では女子競技はない」を貫いたらよかったのではないかと考えるのは短絡でしょうか。たぶん執筆のモチベーションが上がらなくなったのだと愚推します。途中まではすさまじいまでの快作だっただけに残念でした。


 そこにきておれごんはと言いますと、それらとは無縁の場所で胸を撫でおろしているところです。「よかった、バッティングしていなくてよかった」と。基本が小市民ですからね、無理からぬことです。


 第4作のお手本になったスポーツ漫画がひとつあります。大いにリスペクトして、本作にていくつかオマージュさせていただきました。

 華があって勢いがあって、キャラはかわいいしストーリーも最の高。

 完結済みですが、それが何かのはずみでアニメ化でもして再注目されようものなら拙作の出番はありません。なぜ出番がなくなるのかと申しますと、もちろん二番煎じだからです。


 reゼロ以降に「死に戻り」が増えましたよね。禁書以降には学園ものが増えたと聞きます。

 拙作は、そのスポーツ漫画の雨後の筍なのです。んま、周りには私の他に筍は見当たりませんけれども。

 ほとぼりが冷めた今ならいいかとの、あさましいソロバン勘定です。おれごんよ、地獄に落ちるがいい。


 それでも発表しようとしているのはきちんとオリジナリティを加味できたからです。唯一無二の個性を見出したから。

 どうしてそんな発想を得たのか、今となっては分かりません。色々な作品が編み目になっていて、わずかにある糸を通せる隙間をみつけたのだと思います。

 それだけでは面白くはなりませんから、一生懸命自分なりに足したり引いたりしてみました。読まれた方にも私と同じにワクワクしてもらえたら。そう切に願っています。


 そして願わくば。

 私と同じ発想をもつ人よ、あと半年間作品を発表しないでくださいね。まあ、今さらあのスポーツで小説を書く人間など私のほかはいないでしょうけど。

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