第3話 hail the sunny days
千葉県 転石高校
いつもの学校。だけど、僕は誰とも話さない。
スマホも持っていない設定になってしまったので、一人でスマホをいじることも出来ない。
でも、昔から愛用しているiPodはこっそり忍ばせている。
休み時間は、その日の天気や気分でお気に入りの音楽を再生する。
10分間、ここで再生できるのは2曲がいいとこだ。だから選曲は失敗できない。
僕は、授業中にも、"次の休み時間に何を聞くか"を考えながら外を眺めている。
そんな高校生活をもう2年半も過ごしていたが、その穏やかな日々が脅かされた。
「三郷くんっていつも何の曲聞いてるの?」
隣の席の村山さんだ。
焦った。急に話しかけてくるから……とっさに出た言葉は
「ごめんなさい!」
何故か大声で叫んでしまった。クラスメイト40人の注目を集めてしまった。
初めて感じる量の視線。耐えられない。
恐らく僕の顔は本場メキシコのサルサソースよりきっと赤かっただろう。
明日から僕は、学校に行けるのかな。
恥ずかしくてもう死にそうだった。
俺はいつも、学校がつまらない。
高校3年生になって、みんなが受験勉強に必死になり、授業中も目の色を変えて勉強している。
俺は偏差値68の学校で、毎テスト学年でトップ10に入ってる。
でも、驚くほど自分が大学に行くという意志がなかった。
気合をいれて勉強をする気も起きないし、その後の未来も見えていない。
休み時間、また英太と猛、知恵が俺のとこに来て、"放課後カラオケに行こう"だの"10月にはソニフェスに行こう"だの話している。
もちろん笑顔で俺も行く。って話すさ。でもつまらない。
知恵が俺のことを好きなことは気付いてる。でも、告白をされても面倒だから全力で告白してくるなオーラを出してる。
学校も何もかもつまらない。
でも、今日はすこし面白いことがあった。
俺の席からはだいぶ遠かったけど、確か三郷って名前だと思う。
三郷が急に大声で「ゴメンナサイ!」って叫びだした。
久しぶりに笑った。まるで、スペインの闘牛が突っ込んで来るんじゃないかってくらい顔を赤くしていた。
三郷はその後の休み時間もずっと下を向いていた。
それだけは面白かったわ。
hail the sunny days / mando diao
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