第2話 狭山海斗

昔からなんでも出来た。人並みに、いや、人以上に出来た。

でも、何かで一番を取ったことがあるかって言えば、それはないんだ。


野球部では3番でセンターだった。でも、エースで4番が他にいた。


走るのは早かった。リレーの選手だった。でも、アンカーは俺じゃない。


未経験のバスケも、サッカーも、水泳だってその辺の奴らより上手い。でも、1番じゃない。


中学の定期テストもそうだ。常に学年でトップ10。でも、1番どころか、トップ3になったことはなかった。


偏差値だって低くない。でも、上には上がいることはわかってる。


なんで、そうなのかは大体わかってる。

何をしてもすぐにコツを掴んで、なんとなくできるようになるんだ。勉強もなんかだいたいわかるんだ。


だからなのかわからないけど、心から集中してなにかに打ち込むことができない。

上達して、成長していく自分に喜びを感じることができない。



明るくて、気さくで、誰とも話せるクラスの人気者だ。

自分で言うのもアレだけど顔だって悪くないと思う。

女の子にもそこそこモテて来た。


そんな人生なんだけど、これが俺のコンプレックス。


人にはわからないと思う。


何をやっても熱くなれない。何をやってもだいたい出来る。

つまらないんだ。いつも。



俺の名前は、狭山海斗。





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