少年。葉月楓は人の目が苦手だ。なるべく注目されず、学校でも街中でも端っこで生きてきた。前髪を伸ばして、顔まで隠して過ごしている。
下を向いて、やり過ごす。
少女。神無月神無月華凜は女優である。若くしてTVドラマにてブレイクし、今もなお『悪役女優』として名を馳せている。
日常生活を過ごしている学校においても、彼女の美しさや鋭さはテレビの中で目にするのと何ら変わりなく、周囲からはその切れ味がひたすらに畏れられていた。
顔を上げて、切り捨てる。
共通点の無い二人。
だが楓が。華凜の中にある『秘密』を見つけたことで。交わることのなかった二人の、奇妙な関係が始まる。
共犯のような。友情のような。あるいはもっと特別な……
というお話です。
しっかりとした文章で、練り込まれたキャラクターとその関係性がじっくりと描かれている現代ドラマです。
神無月華凜が葉月楓との秘密を共有し、関係を深めていくことで少しずつ見せていく/取り戻していく『華凜らしさ』がとてもかわいらしく、素直に応援したくなります。
十七話以降の展開にも期待です。