四 やっと分かった?

 彩芽の叫び声があまりに大きかったので、蘭本人も振り返った。

 彩芽は蘭に駆け寄り、興奮した様子で話しかける。

「蘭ちゃんだよね? 小さい時、よく一緒に遊んでた! ねぇ、私のこと、覚えてる?」

 蘭は、やっと思い出したか、という顔で「ええ、そうよ」とだけ返した。

「知らない子ばっかりで不安だったけど、知ってる子がいてよかった。一年間、よろしくね!」

「⋯⋯あなた、わたくしを友人だとみなしているわよね?」

「え? うん」

 彩芽はきょとんとしていた。なぜそんなことを聞かれるのか分からない、という表情だった。

「昔ちょっと仲が良かったからって、友人ぶらないでくれるかしら」

 蘭は吐き捨てた。クラス発表を見た時よりもさらに冷たい目だった。

「えっ⋯⋯でもそれって、また仲良くなれるチャンスがあるってことだよね?」

「はぁ?」

 蘭は大きな目をまんまるにしている。まさかこのように返されるとは思っていなかったのだろう。

「私たち、一回離れ離れになったよね。でも、また会えた。もう一回友達になろうよ。今日から!」

 彩芽は右手を差し出す。握手のつもりだったが、蘭はそれを無視して「⋯⋯勝手になさい。行くわよ、霧島きりしま」今朝校門で見た初老の男性に声をかけた。そして、振り返ることもなく歩き出す。男性は見るからに品の良い、執事然とした人物だった。

 霧島は蘭の後ろをついていくと思いきや、主人の方に向かう様子はない。

 彩芽が声をかけようとした時、霧島が口を開いた。

「蘭様はあのようなご様子ですが、実際はとてもお優しい方でいらっしゃいます。彩芽様、お嬢様をよろしくお願いいたします」

 穏やかな口調だった。霧島は彩芽に頭を下げると、蘭の後を追った。

 少し遠くで、「何をもたもたしているの、霧島!」と急かす声がした。

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2024年9月27日 19:00
2024年9月28日 19:00
2024年9月29日 19:00

祓魔少女 卯月みお @mio2041

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