幼馴染は俺の好み

@75_nako

プロローグ 俺の好みの話


 キリッとした目元の割に黒目が際立ち、整った顔をしていた。後ろに結んだ髪は左右に揺れ、ふと香るほのかに甘い匂いが鼻をくすぐる。ワンピースの裾は風に揺れ、袖から生える腕はかなり白い。

 こちらを振り向き、「早く」と急かす。好きなアニメのグッズが売っているのかそれに夢中のそいつに周りの男性陣は二度見三度見をキメていた。

 そりゃそうだろう。可愛らしい女の子を攻略する乙女ゲームのコーナーに1人、超美人が吟味していたら誰もが内心驚くだろうと思う。


結斗ゆいと、これ買ってくる」

「おう」


 俺の名を呼び、軽いステップでレジに向かった。

 店からでてきた美人の手には両手に店のマークがついた袋を持っている。それに加えて満面の笑み。「可愛い」と言う単語を軽率に呟きそうになるほどに輝いていた。

伊月いつき、次は?」と聞くと、「次は〜」と行きつけのアニメグッズ屋の名前を大きめの声で言ってその方向へ向かおうとしていた。


「荷物」

「えぇ、これくらい持てるぞ?」


 苦笑しながら左手で持っていた袋を俺に渋々差し出す。

 先を歩くそいつを後ろから追う。隣に並べは自然と歩幅も合う。昔からずっとそうして一緒に歩いてきた。

 凛とした姿を晒すそいつのことは昔から目に焼き付いている。

 そう、俺の好みの話。

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