12.『クエスト』機能…!

 『クエスト』機能…!ようやく来たか!俺は内心飛び上がった。正直、今のままだとDPがかなり心許ないと思っていたところだったのだ。しかし、この報酬は一体誰が用意しているのだろう?また親ダンジョンとやらか?



"その問いについて詳しくお答えすることは出来ませんが、ダンジョンシステムの全てを管理しているのは女神アリアです"


"代わりと言う訳ではございませんが、親ダンジョンについてのご説明を致しましょう"


"ダンジョンコアとは女神アリアによって人間と世界との均衡を保つために作られたものです"


"人や物の「価値」をポイントに替えて様々なものに変換することが出来、それはダンジョンコアそのものであっても可能です"


"当然人類はダンジョンを攻略しますが、ダンジョンがそのように増え続けるため、おおよその数は1000前後を保っています"


"そうした際に、自身が増やしたコアのダンジョンには絶対的な命令権を持ち、命令をする側を親ダンジョン、命令を受ける側を子ダンジョンと呼びます"


"親ダンジョンからの支援はコアを作成する際に親ダンジョンのマスターに委ねられます"


"また、この情報の開示は親ダンジョンからの許可が出るまで行えないことになっております"

 


 おう、待て待て待て。なんだか重大そうな情報がさらっと明かされたが…親ダンジョンには子ダンジョンに対して絶対の命令権を持つ…?じゃあ、苦労してダンジョンを作っても親ダンジョンの機嫌一つで全て水の泡になるってことか?



"通常のダンジョンはそうですが、リョウ様については例外です"


"親ダンジョンからの指示が出される可能性は一切ありません"


"リョウ様のコアは親ダンジョンである『雨の滴の洞窟』攻略される寸前、そのダンジョンの保有していた全てのDPを注ぎ込んで生み出されたものであり、『雨の滴の洞窟』のマスターは既に存在しません"


"注ぎ込まれたDPは世界を渡る際のエネルギーとしてほとんど使われてしまいましたが、初めに指定された分は支援用として残っていましたのでそちらが使用された形となります"



 まあ、一先ず安心…と言っていいか。『雨の滴の洞窟』の跡地にはそのうち行ってみよう。


 俺はショーケース内のダンジョン(長いから以降はミニジョンと略そう)の閉ざされた扉を見た。ダンジョンの入り口は一度閉めると24時間は開けることが出来ない。その間に中身をある程度作っておくべきだろう。


「アインス、いくつか試したいことがある。付き合ってくれ。」


「もちろんです。」


 快く承諾してくれたアインスを連れ、召喚台の前に移動する。

 アシストさん、『強化』のやり方を教えてくれ。



"かしこまりました"


"『強化』とは文字通り、DPを使ってダンジョンマスターやダンジョンモンスターの能力を上げることが出来る機能です"


"『強化』で強化可能なのはHP、MP、物攻、物防、魔攻、魔防の六つです"


"召喚台の前に立ち、『強化』と声に出してください"



「『強化』。対象はアインス。項目は最大HPのアップで…と。」


 召喚台のプレートを操作し、項目を入力する。HPやMPは1Pで10上げることが出来るようだ。

 決定を押すと、魔法陣が輝き黒い光が飛び出した。そのまま矢のようにアインスに突き刺さると、彼は衝撃に耐えるように表情を歪め、膝をつく。


「っ…!」


「アインス!」

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