11.「信じられない…本当にダンジョンがある。」

「信じられない…本当にダンジョンがある。」


「ほら、だから言っただろ!」


 ケビンに連れられ大分渋るシーザーを何とか説得し海に潜ると、彼の話の通りダンジョンがあった。中は空気で満たされており、買い込んだ水中呼吸薬は大分無駄になってしまったが消費期限があるものでも無いので、一先ず鞄にしまっておく。


「リリア、十五歩先に落とし穴。」


「了解。≪炎槍≫!」


 こんな感じでサクサク進んで行く。海の中だからなのか、私の魔法の威力は多少落ちてるけど、問題ない程度だ。名無しの加護ではあるけど、やっぱり火神様の加護は凄いな。

 後ろではケビンが暇そうにしているけど、モンスターが一匹も出てこないし彼の出番はないかもしれない。


「お!あれ、宝箱じゃ無いか?!」


 先程までぼーっとしていたケビンが指を指した先には、たしかに本でみたような宝箱が置いてあった。シーザーに聞くと、罠は無いらしい。

 何気に初めて冒険者らしい報酬だ。私たちはワクワクしながら宝箱を開けた。



***



「惜しかったな。」


 結局彼らは途中で道を間違え、外れの宝箱を引いてしまった。…その割には嬉しそうだったが。あの様子なら、このダンジョンにまた来てくれるだろう。



"侵入者の撤退を確認しました"


"おめでとうございます"


"これにて『チュートリアル』を終了します"


"『クエスト』機能が解放されました"



 そういや、『チュートリアル』中だったな。ちょっと忘れてた。

 とりあえず、新機能も開放されたみたいだし、ダンジョンの入り口を閉めて、アインスを呼び戻すか…と言ってる間に自力で戻ってきたみたいだ。


「ただいま戻りました。」


「おう、お疲れ。」


 俺の労いに一戦もしてませんけどねとアインスは苦笑を零しつつ微笑む。


「そういや、さっきの冒険者たちは皆んな〈女神アリアの加護〉って持ってたな。」


 ふと、先程疑問に思ったことを呟くと、アインスはこんな説明をしてくれた。




 何万年も昔のこと。岩と海だけだったこの世界に緑をもたらし、生命を生み、魔力と加護を与えた女神がいた。その名はアリア。命と慈悲を司る彼女は大の人間好きだった。彼女の力によって人間は大きく発展し、他の動物に追随を許さない程の文明を築き上げた。流石に少し不味いと思った女神アリアはダンジョンを作り出し、世に魔物を放つ。しかし、それで人間が傷つくことを悲しんだ彼女は人の死をレベルと引き換えに帳消しにする術を与えた。それが〈女神アリアの加護〉である…と。




「へえ…てか、何でお前、そんなこと知ってるんだ?」


「召喚された時点で、ある程度この世界の常識についての知識がありました。」


 それは都合が良い。情報収集の手間が多少は省けそうだ。

 更に教えてもらったところ、加護には名有りの加護と名無しの加護があり、名有りの方が珍しく強い効果があるそうだ。先程のリリアという少女が持っていた〈火神の加護〉などの加護は名無しの加護で、〈女神アリアの加護〉は名有りの加護だ。珍しいと言っても、〈女神アリアの加護〉は全ての人間が生まれた時点で持っているものらしいが。〈女神アリアの加護〉があると例え死んでもレベルは下がるが教会で復活できるそうだ。ただし、ダンジョンで死ぬと全ての加護が数年間使えなくなってしまう。それでも、宝を求めてダンジョンに潜りたがる冒険者は多いそうだ。感じるかどうかも分からなかった罪悪感だが、この仕組みのおかげで殆ど心配は無くなったと言ってもいいな。

 先程、冒険者がやってきたので、そのうち情報が広まり多くの冒険者がやってくるだろう。それを俺は遠慮なく殺しまくれば良いわけだ。


 あ、アシストさんのこと忘れてた。ごめん、続きお願いします。



"『ダンジョンアシストを使ってみよう』をクリアしました"


"報酬として300Pを獲得しました"


"『ダンジョンを創ってみよう』をクリアしました"


"報酬として、10000Pを獲得しました"


"『DPショップを使ってみよう』をクリアしました"


"報酬として、500Pを獲得しました"


"『DPガチャを使ってみよう』をクリアしました"


"報酬として、アイテムガチャNチケット×100、アイテムガチャRチケット×10、スキルガチャNチケット×10、スキルガチャRチケットを獲得しました"


"『ダンジョンモンスターを召喚してみよう』をクリアしました"


"報酬として、1000Pを獲得しました"


"『ダンジョンモンスターに名付けをしてみよう』をクリアしました"


"報酬として、マスタールームの基本設備を獲得しました"


"『ボスモンスターを設定しよう』をクリアしました"


"報酬として、100Pを獲得しました"


"『ダンジョンを編集してみよう』をクリアしました"


"報酬として、1000Pを獲得しました"


"『ダンジョン内を監視してみよう』をクリアしました"


"報酬として、『監視』可能な領域がダンジョン内からダンジョンコアを中心とした半径10kmに拡張されました"


"『侵入者を撃退しよう』をクリアしました"


"報酬として、1100Pを獲得し、第二層が開放されました"


"『クエストを10個クリアしよう』をクリアしました"


"報酬として、2000Pを獲得しました"

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