レビュー
『世にも奇妙な物語 2023夏』をレビューしてみたよ
先日放送された『世にも奇妙な物語』。もちろん自分も視聴しました。
一回こういうレビューものってやってみたかったので、今回は各話の感想を諸々書いてみようかなと。
○お姫様クラブ
原作がレディースコミックということもあってか、本当にただただ嫌な感じで終わりましたね。もちろん褒めてます。
大きなどんでん返しがなかった分、じわじわ真綿で締め付けられてくるような苦しさを感じました。最後の煌びやかさが、良い矛盾を生み出してたように思います。
難を挙げるとすれば、やはり松尾貴史さん演じる比目野の設定回収ができていなかったことでしょうか。謎を謎のままにするのも手法の一つですが、今回に関しては伏線感すごかったので回収してほしかったですね。
○小林家ワンダーランド
『優等生』『何だかんだ銀座』に続くコメディブラック物(ブラックコメディとはあえて書きません)の系譜。まさかこの話がそうなるとは思わなかったですが。
たしかに唐突感の否めないラストでしたが、SNS等で意見を見ていると、「主人公がこうなってもおかしくないような扱われ方をされていた」というところで伏線をしっかり張っていることに気づいている人もいて、思わずなるほどと言いたくなりました。
それを踏まえて見返すと、この主人公、会社でもないがしろにされているし、家庭では意見を発しても家族がポカンとした表情なんですよね。
本作は、二回目に見ると、コメディのノリだと思われていたものが実は……というギミック満載の名作なのかもしれません。
○視線
今回一番評価が高いようですが、自分も本作が一番だったと思います。
松木監督らしさが出た不安感のある視線描写もさることながら、何と言ってもあのラストシーンでしょう。ここのためにこれまでのストーリーがあったのかと思うと、それだけで鳥肌が立ちますね。
案外触れている人がいなくてびっくりしたんですが、このラストが単なるメタフィクションにとどまってないのって、「テレビ内のカップル役の役者が主人公を見つめていた」シーンがあったからだと思うのですがどうでしょう?
○虹
実は予告を見ていた時に、主人公と思われる人物の台詞が無くて、「もしかして、主人公の台詞は無いか、あっても重要なシーンでしかしゃべらないのでは?」と思ってました。
いざ始まると、マジで台詞がなくて驚きました。
主人公が台詞をしゃべらないのは、最近だと設定上しゃべりようの無い『何だかんだ銀座』、昔だと『指名手配の男』がありましたが、前者は最後に重要な台詞がありましたし、後者はモノローグ的に冒頭でチラッとしゃべってました。ガチで徹頭徹尾主人公がしゃべらないのは『奇数』くらいじゃないでしょうか。
最近じゃできなくなっていた、こうした実験的な作品が放送された、ということだけでも、充分評価に値すると思います。本当に『世にも』じゃないと許されないです、これは。
○総評
個人的な印象としては、「マイルドにした2022夏」でした。
充分問題作(良い意味で)なのですが、味付けはそこまで濃くなかった。そんな感じです。
ただ、賛否の別れ方は「2022夏」の比じゃないように感じます。
『お姫様クラブ』や『視線』も、ゾッとはしますがオチてないと思われるかもしれないし、『小林家』はこれまでの匂わせに気づかなければ唐突感は否めず、『虹』にいたっては意味が分からないと言われるでしょう。
何となくですが、今回は古参、あるいは過去の作品も多く知るファンの方が楽しめたように思いました。実験的な作品やどんでん返し以外で格好いい終わらせ方をした作品って、昔ならちょくちょくありましたし。
とにもかくにも、今回も充分楽しませていただきました。テレビ不況の中でもこんなにハイクオリティな新作をポンポン創ってもらえるのは感謝しかありません。
スタッフならびにキャストの皆様、お疲れ様でした。次回も期待しています。
そしてできれば時間配分も考え直していただいて……。
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