第130話
それから、暫く経過して俺達の拠点であるフォートレスに次々と人が増加しているのが目に見て分かった。
そうなると、食料面で不安が出てくる。ただ、悪い面だけでは無く良い面もあった。
・悪い面は、消費する食料が増加した事だ。
備蓄庫の食料は、見るみるうちに減って行く。ある程度人の増加も考慮して、計画的に食料消費を計算しているが、ちょっと不安が残る。まあ、この辺りは金安達に任せているので、大丈夫だろう。
・良い面は、野菜の収穫量が大幅に増える見通しがたった事だ。
第二防壁の北側に広大な畑スペースと家畜飼育スペースを新設したのだ。第二防壁内の敷地以上のスペースを割り当てて、北東側の一帯を畑スペース、北西側の一帯を家畜飼育スペースとした。
畑を開墾する為にかなりの労力を使うが、これは人手が増えたのでペースは早い。|フォートレス(拠点)の開発当初に配下数人で数週間以上掛かっていた作業も数百人もいれば、どんどん作業が進む。
更に栽培に適したスキル所有者も増えて、野菜の生産量は増える見込みだ。
・次の悪い面は、治安が悪くなった事だ。
第二防壁内に入って来れる人々は、規則を守っているが、東地区の新設の住居スペースの人々は、色んな人達がいる。
老若男女問わずに住んでいるので、色々とトラブルが絶えない模様だ。詳しい内容は聞いていないが、喧嘩、窃盗、暴行など様々なようだ。
こういったトラブルに対する規則を決めていなかったので、当初はどうするか曖昧だったが、現在はまだまだ穴があるかも知れないが明確になった。
内容はまずクイック裁判長による事実確認が実行されて、その後に悪意性などの評価によって大きく『追放』『罰則』の2つの刑に処する。
なお、フォートレスに加入する為には、この規則を拝承する事が義務付けられた。
・それに伴い更に良い面は、自衛団の体勢が強化された事だ。
これは治安維持が目的の一つであるが、それ以上にモンスターや他勢力からの侵略などに備えて、自衛団を大幅に強化・拡張したと言うのが実情だ。
第二防壁内で生活が許可され、且つ戦闘職の者の殆どはこの自衛団へ入団している。それだけだと、数が限られてしまうので、東地区の住民からも人を募って急成長したのだ。
今でこそ聖域都市パラディスの人口は、3000人程と減少したが、以前1万を超えていた。仮にそのパラディスが、攻めて来ていたらモンスター以上に厄介で、対処のしようがなかっただろうと思う。
既にフォートレスの人口は3000程である。その内、1000人程は、信用が置ける者として、第二防壁内で生活している。残り2000人程は東地区(住宅スペース)で生活している。
そして、自衛団には半分程1500人が所属しており、日々訓練や巡回などを行なっている。
ただ、全員が全員、朝から晩まで、自衛団の任務に就いている訳ではない。2日〜3日に1日自衛団の任務に就く形だ。それ以外は、各々別の仕事を持っている。
中には例外がおり、100人長や1000人長などの隊長クラスの役職に就いて自衛団専属となる者もいる。
・その他 ちらほらとカップルが出来た。
カップルが出来る事は全く問題が無いが、夜の事情が出てきた……。マンション住まいの人々しかいない時は問題にならなかった(壁で防音がされているため)。
しかし、東地区のカップル達は、まだ住宅施設が整ってないためテントや木造住宅などに住んでおり、夜にハッスルする声がダダ漏れだった。それが原因でムラムラして暴行に走った住民がある一定数いる事は確かだった。
森でヤルのは、モンスターの危険性があり集中出来ない。その為、経緯は変だが、ワンルームが多数あるホテル的な建物を用意した。このホテルは、各人1週間に一度だけ利用出来る制度にした。家族でも使用出来るし、個人だけでも可能だ。
ホテルの食事は東地区よりランクが高い物が提供される仕様にした。更にある一定の時間帯(15時〜24時)は、電気を、電化製品を使用できる状況にした。これは、第二防壁内で生活できるメリットやイメージを植え付けるための仕掛だ。
食事と電気の効果だろう、カップルだけでなく東地区に住む人々にとって、ホテルは連夜大盛況だった。
そして、カップルの夜の営みが元だが、東地区の住民は心を入れ替えて、第二防壁内へ移る人々が増えたのだった。
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