第126話 ※三人称視点



 <三人称視点>



 謎の集団が狙っているのは、冬夜達の拠点だ。


 10m以上の屈強な防壁が二重に建設されており、中心部のマンションからは夜な夜な光が漏れている。


 更に偶に音楽も流れて来ているため、明らかにを使っている事が分かり、彼等の行動に拍車が掛かっていた。


 更に第二防壁の内側には、聖域都市パラディスに卸している高級食材の野菜が栽培されており、その情報も彼等は掴んでいた。


 普通の野菜の10倍、いやそれ以上の美味しさを誇るとされており、パラディスでは第一層の人達しかありつけない。


 そんな野菜が彼等の目の前の畑一面に栽培されている。


 一人の男が、栽培されているトマトを1つむしり取り、そのまま口に運ぶ。「うっま。」「馬鹿静かにしろ。」


「作戦が成功すれば、幾らでも食べられるから、一旦、この拠点を制圧する事だけを考えろ!」


「す、すまん。昨晩、余り食べてなくて……。」


「………。」


「でも、本当だぜアキラさんも一口食べて見てくれよ……。」


「……仕方ない。(モグモグ)これは……確かにアイツラが是が非でも手に入れるように指示して来るはずだ……。」


「こんな所で油を売ってないですぐに進みますよ!!アキラさんも何やってるんですか……。」


「……すまん。気を取り直して行くぞ。」



 ―――――――――



 40人ほどの集団は、何の襲撃も無く第一防壁の付近まで到着してしまった。


 彼等は、中心部のマンションの制圧を優先していた。どの道、そこを占拠してしまえば、全てを手に入れられると考えていたからだ。


 月明かりだけが照らす闇の中をまた、第二防壁を登った人物が、同様にスキルを使って第一防壁をいとも簡単に登っていく。


 彼が頂上へ着くとまた、ロープをそこら辺へ固定して、仲間の方へ垂らした。


「意外と呆気なく事が済みそうだな……。」


 彼等のリーダーであるアキラは、仲間へ指示を出し、順番に登るように指示を出す。20人ほどが登った後の事。


 彼等の頭上から、人が降ってきた。そして、その人はそのまま、地面へ激突する。よく見るとそれは、先程ロープを伝って防壁を登った仲間だった。


 防壁の上では、一人また一人と登ってくる者の命を声を出させずに刈り取っている者達がいた。


 他の10人ほどに緊張が走る。


「どうゆうことだ!?。」

「わからない……ただ、緊急事態が起こった事は確かだ。」

「っち。防御の布陣を取って、周りを警戒しろ。」


 彼等全員は防壁を背にして、盾を構えて扇状の布陣を取る。その時、発光弾が彼等の眼の前に落とされて、姿が露わになった。


『集中砲撃よーーーい、……放てーーー!』


 冬夜の配下たちは既に彼等を囲むように布陣しており、魔法や弓矢を一斉に放った。更に防壁上からも攻撃を放ち、1分も経たないうちに10人ほどの賊は見るも無惨な姿となり討伐された。




 ―――――――――



 一方その頃、フォートレスのリーダーである冬夜は、賊の襲撃などつゆ知らず、配下チケットを3枚ゲットして、早速ガチャを引いているのだった。


 そして、どこからともなく「よっしゃーーーーー!!」と大声が響き渡ったのだった。



 この賊の襲撃は、冬夜の配下達の間で秘密裏に処理されたのであった。


 勿論、賊に生き残りなど居なかった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る