第125話 ※三人称視点
静寂が支配する闇の中。
凍てつく風が吹いている。
そんな中を40人程の人影が息を潜める様にして動いている。
「手筈通りにやれば上手くいく!」
「分かった。そっちも気を付けろよ。」
「ああ…。」
彼等は10m以上ある防壁を見上げていると、その中の一人がスキルを使用して、スルスルと壁を登っていく。
頂上着くと、用意していたロープを取れない様にそこら辺に固定する。そして、ロープをつたってどんどんと仲間達が防壁の上へと到着する。
「ここまでは順調だ。誰にも気付かれていない。」
「ああ。」
「ここからも誰にも気付かれずに見張りを制圧する事が肝心になってくる。東側の見張りは居ない、西・南・北側の各3方面の見張りは2人ずつだ。慎重に事を進めるぞ。」
「後、多少の犠牲は付きものだがなるべくなら人は殺すなよ。制圧した後の管理体制に影響が出ると元も子もないからな。」
「善処する。それでは、また後で…。」
南と北へ各5人ずつが向かって行く。
残った30人程の塊は、防壁の内側へ音もたてずに闇に紛れる様に移動した。
――――――――――――
弓が弧を描き見張りの胸に2本突き刺さり、見張り1人が倒れる。近くに居たもう一人の見張りは、投げナイフが2本突き刺さって声すら出さずに倒れた。
5人は念のために倒れている見張りの首筋を追加で切り裂くために近づいた。
「防壁の制圧には、仕方がない犠牲だ……。」
倒れている見張りはピクリともしないが、5人の内2人がナイフを手に取り切りつけようとしたその時。
「うぐぐぅぅぅ。」
「「っぁあ………。」」
「「っがぁ……。」」
バタバタと5つの倒れる音がした。
それと同時に見張りの2人はなんでも無い様に立ち上がり、その近くから見張りの仲間4人が現れた。
『やはり、動いて来たか………。』
『仕方ないよ。こう言った事は人が多くなればなる程、いろんな考えが出て来るから……。』
『まあ、早めに反乱の目を摘んでおけると考えれば良かったか……。』
『そうだね。アークやハンクも居るし、後は彼等に任せておけば良いでしょう。』
『それにしても、意外と多くの人が動いて来たな。40人って言ったら、まあまあの数だし……。』
『もしかしたら、最初からこの拠点を狙っていた可能性もありますね。』
『即席にしては、数が多いから、その可能性もあるな。もしくは、行動を操ったり、誘導する様なスキルを所持している者がいるのかもしれませんね。』
『魅了などだったら、厄介そうですね…。』
『『『…………。』』』
少しの間、沈黙が訪れる。
『でもよ、そんなんレアスキルを所持していたら、既に大成してるんじゃ無いか?』
『……確かにそんな気もするな。兎に角、油断は禁物だな。』
見張り達は互いに改めて気合を入れ直すのであった。
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