第124話
「東松野さん達のメンバーは、ハッキリ言って、6割ほどしか合格じゃ無かったけど、これからどうしますか? 合格者は、歓迎しますが………不合格者を第二防壁の中に入れることは出来ない規則です。」
酷かも知れないが、知り合いだからといって、依怙贔屓をしてしまっては、今後の運営に影響が出てしまう。
「……っえ、でも、来ても良いって聞いたから来たのです。………私は駄目でも良いので、他の方を入れて貰えませんか?……お願いします。」
「………。」
東松野さんが必死になって頭を下げて来る。
それを見た東松野さんの仲間数人が今にもキレそうな状況だった。
そこへ、クイックが話をし始めた。
『冬夜様は別に誰かが嫌いだからと不合格にしておりません。東松野さん達は何か勘違いをされているかも知れませんが、合否の判断を下したのは、【スキル】によるものです。人の主観による判断では無く、ちゃんと公平な判断をした結果です。
当初、アークから説明をした通り、判断基準は、【信用出来る人物か否か】です。それを見極められる【スキル】を私達は持ち合わせております。その結果が………4割の不合格者です。』
「そ、それは、どうゆう事ですか!俺達は、大した質問なんて受けてませんよ!それで何が分かるって言うんですか。」
一人の男が、反論してくる。
怒りの矛先が冬夜からクイックへ代わる。
『その大した質問しかしてないのに、【信用出来る人物か否か】が私達には分かってしまうのですよ。………では、質問しますが、このフォートレスに入れれば、「何もせずに楽が出来る。」などや、「助け合いなんて考えられない。」などと考えている方なんて居ませんよね? ましてや、我々の質問に対して、嘘なんて付いてませんよね……?私達には、それらを感じ取れるスキル保有者がいるのですよ。』
「そんな事考えている人が、いるわけ有りませんよ。」
「そうだ、そんな事を考えている者なんて、この中には居ない!!」
「「「「…………。」」」」
一部の人は、マズイと顔や仕草に出ている者がいた。
そこでアークが口を開く。
『どちらにせよ、すでに合否判定は出たのです。……我々は、スキルによって公平に判断させていただいたので、ここでいくら質問を受けようが判定を覆すことはあり得ません。申し訳ありませんが、他の合格者もおりますので、あと10分だけお待ちしますので、それまでにご判断をして下さい。』
俺は、クイックとアークの方へ歩いて行く。
「嫌な役回りをさせてしまってすまんな……。」
『いえいえ、ここで冬夜様へ怒りの矛先が向くことが、最悪なシナリオでしたので……。』
『私達であれば、全く問題ございません。』
その後、多数決の結果、東松野さん達のグループは、合格者のみフォートレスへ入る事なった。
勿論、東松野さんは、合格者だった。
―――――――――――――――
なお、不合格者たちはどうなったかと言うと………、はい、さようならでは無い。
第二防壁とは別に東側に住宅スペースを設ける事にした。
まだ、防壁は出来ておらず木の柵だ。適当に住宅を建てられると、後から修正するのが大変なので、とりあえず区画整理だけして、各々テントを建てて生活して貰う事にした。
そして、仕事をすればそれに見合った最低限の食事は、提供する約束をしている。
この新設の住居スペースは、マイスペースの建設スキルを使用せずに自分たちの力で住居や防壁を設置して貰うつもりだ。
なお、2日に1回程度実施するフォートレスへの面接試験はいつでも受けられる。ここで、合格になれば第二防壁内へ入れる許可を得ることが出来る。
また、逆に一度、第二防壁へ入域面接に合格しても、その後のクイックと上坊寺剛のスキルチェックに引っ掛かると、東地区へと移動となる事もある。
そう言った、逆戻りの規則も用意している。
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