第127話



 静寂の部屋の中を俺の足音だけが静かになっている。


 蛇口を捻るとジャーと冷たい湧水が出てくる。その水をコップを使わずに顔を近づけてゴクゴクと飲む。


 そして、タオルで口元と顔から体にかけて汗を拭き取る。


 ちょっと、今日はハッスルし過ぎてしまった。秋実は、レベルアップした俺の体力について来れずに何度も昇天しまくってダウン中だ。


 ちょっと目が冴えてしまったので、ガチャでも引こうとステータス画面をいじくる。


「よし、今日も召喚チケットは3枚ゲット出来た!このまま、引いてしまうか!良いのが出てくれよ!」


 独り言を言いながら、且つ、「頼む、頼む、頼む、良いカードよ出てくれ!」と念じながらステータス画面をグググッと数秒間押してからパッと指を離した。


 恐る恐る目を開けると……幸先がいい、持っていない☆2つの新キャラが手に入った!


 名前 : エルゾ ☆☆

 レベル : 1/20

 スキル : 強奪 レベル1

 170cmほどで痩せ型、皮の鎧・手袋・弓矢セットの軽装の男


 「よしっ!」少し大きな声を出してしまったが、気を引き締めて2回目のガチャを引くと……定番の☆1つだった。


 そして、最後の1枚に気合を入れて、ガチャのボタンを押したその時、今までとは明らかに違った反応が起こった。


 カードが虹色の光を放ちながら出てきたのだ!何か途轍も無い演出が発生して「っえ、ええええ〜〜〜〜。」ちょっと戸惑ってしまう俺。


 虹色に光るそのカードを手に取った……☆5つだった!!


「よっしゃーーーーー!!」つい嬉しくて大声で叫んでしまった……。夜中なのに近所迷惑だった。





 冷静になって、改めて配下カードを見てみる。


 名前 : 剣王ムサシ ☆☆☆☆☆

 レベル : 25/50

 スキル : 抜刀術 レベル6

 180cmほどで細身体型、筋肉質で瞬発力は抜群。下は黒、上はワインレッドの剣道着の袴を纏っており、赤がかなり目立つ。


 、凄くカッコいい響きである。

 初めての☆5つの配下カードだが、更に驚いたのが、最初からレベルが25なのであった。


 「レベルが25だよ、25……。」これまでの経験上、配下は普通の人間と比較しても、レベルが低くても強い。勿論、レベルが高ければ、個人差はあるがそれだけ身体能力などが高くなることは、実体験として分かる。


 ただ、配下達は、身体能力というより。そう俺は感じている。


 その実戦経験によって、力を極限まで発揮出来るからこそ地球人より強いのだ。そして、恐怖心というか躊躇心というものが少し欠落している。それが良いのか悪いのかは置いといて、自分にとってのに対して、躊躇なく剣を振り下ろせる……躊躇なく命……を、奪えるのだ。


 そんな配下が、しかも☆5つの超超レアキャラがレベル25の状態で手に入ったのだ………。普通に25までレベルを上げるとすれば、配下カード300枚分消費することになる。


 昔だったら一年近くの時間を費すが、今は3ヶ月ちょっとで入手できてしまう枚数だが。ただ、その間は他の配下の強化が出来なくなるので、最初からレベルが25なのは、最高のサプライズプレゼントである。


 しかも、☆5つなのだ。口角が上がっているのが自分でも分かる。


「一人でニヤ付いている自分を想像すると気持ち悪いな……。」


 そんな事はさておき、今後の攻防において、大きなカードを手に入れる事ができたのは確かだ。


 この前のオークキングのような化け物が再度いつ現れるかわからないし……、その時また勝てるとは限らない。


 もしくは、オークキング以上の更なる強敵が現れるかも知れない。強い配下はいくらいても困らない。


 そのため、剣王ムサシという超レアキャラを手に入れたが慢心しては駄目だと改めて再認識した。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆


メインキャラクターのイメージ画像を乗っけました。

興味あれば、御覧ください。


↓【海道 冬夜】イメージ

https://kakuyomu.jp/my/news/16817330660384090676


↓【滋賀 秋実】イメージ

https://kakuyomu.jp/my/news/16817330660384146629


↓【南島 夏】イメージ

https://kakuyomu.jp/my/news/16817330660384217329

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る