第121話 ※三人称視点



 <三人称視点>


 1000にも及ぶ数のモンスターがある拠点を完全に制圧していた。そして、そのモンスター達が次の集落へ向けて動き出している。


 ここは、日本の秋田県だ。


「春香、すぐに逃げろーー!このままだと、全滅するぞ。その前にお前達だけでも、逃げるんだ。」


「で、でも………。」


 無口の黒髪ロングヘアーの美少女が、その場で硬直している。


「いいから、いくぞ。」


 春香と呼ばれた美少女は、仲間に手を取られてその場を後にするのだった。


 その間にも、周りでは後退しながらモンスターと戦っている。


 その中心には、先程美少女に逃げろと叫んだ男の姿があった。


 その男は大盾を持って『アトラクト!!』とスキルを使用すると、周りにいたモンスター達が一時的にその男に注目するのだった。


 大盾男は、オーガやオークの攻撃を大盾で受け止める。そして、大盾を使って『シールドバニッシュ』と叫ぶと、周りのモンスターが吹っ飛んだ。


 しかし、スキルの隙きを突いて、別の個体のモンスターが大盾男の後方から棍棒を打ちつける。大きな衝撃を受けるが、何とか持ち堪えて後方のオーガへ裏拳のようにして鉄槌を遠心力を付けて叩きつけた。


 オーガはその反撃に反応できずに強烈な鉄槌の一撃を頭に受けると、首の骨が折れてそのまま暫くすると光と共に消え失せた。


 次にウルフ3匹は大盾男へ迫って足に噛み付く。男は大盾と鉄槌で2匹を払い除けるが、1匹のウルフは、大盾男の足に齧り付き少し肉を削り取った。


 男は片足を地面につくが、直ぐに立ち上がりモンスターの追撃を向かい受ける。


 ただ、多勢に無勢だった。男はダメージを受けつつも、その後10数匹のモンスターを単独で倒したところで、とうとう力尽きて倒れた。「春香……無事で……生きてく………。」そう言うと、オーガに頭を叩き潰された。


 秋田を襲ったモンスターの集団は、この拠点を潰した後も別の拠点を潰して回ったのだった。





 春香たちの拠点の生き残りは、たったの47人だった。数百人規模の拠点だったが、この1ヶ月ほどのモンスターの大規模侵略によって、自分の所属する拠点はおろか周辺のコミニュティーまで壊滅した。


「これから………どうする?協力していた同盟の拠点も………。」


 その中の1人が重々しい雰囲気の中口を開いた。


「「「「……………。」」」」


 ただ、その言葉に誰も口を開く者はいない。希望を失っているのだ。そんな中、春香は口を開かずに手を動かしていた。


 通信魔導具で冬夜へ連絡を送ったのだった。


 そして、最終的にこの拠点の生き残った37人は、周りの生き延びた数人と合わさり、春香の提案によって、千葉の冬夜の拠点へ移動するのだった。


 その数は、最終的に64人だった。


 その64人で転送陣を潜って、ガマズミ町を経由して、千葉県まで最短で移動する事が出来た。


 途中のガマズミ町で、冬夜の仲間のキーシャと言う女性と合流して連れて来てもらい、ここ千葉まで来れた。




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