第116話
聖域都市パラディスや秋田でも今回のモンスターの同時侵略があった。全世界に跨っての状況かは不明だが、俺達の拠点を侵略する事が目的じゃ無い様で安心した。
俺達の拠点へのモンスター侵略情報は若松さんや東松野さんへ共有しておいた。
それにしても今回の侵略は、多方面に同時であり、何者かの意図がある事があからさまである。
そう考えると、今後も同様な事が続くと考えるのが普通であり、今までの対策だけでは不安だ。
防衛設備面は、ある程度対応出来ていたが、人員不足が否めない………。決定的な人手不足である。
人手不足は配下を増やす事が最も信頼を置けるが、スキルの上昇を見る限り、多くは望めなそうである。到底、1000人や10000人なんて無理だと想像が付く。
単純に人を増やすのであれば、パラディスの第四層の住民に声を掛ければある程度集まるだろうが……各個人の資質的な問題が付き纏ってくる。
要は、治安維持の問題だ。
治安維持のために反乱の芽は摘んでおきたいが、それもやり過ぎると、俺の思想に合った人間しか集まらなくて、YESマンだけの……宗教の様にならないか心配である。
だからと言って、誰でもいいから拠点へ住まわせるのは不安が残る。
仲間の募集基準を明確にして、スキルの力である程度選抜するしか無いと思う。これは、秋実達に考えて貰おう。
拠点の会議室。
「じゃあ、その方向で行こう!他にも新たな考えが思い浮かんだり、途中経過から改善が必要な事が出ればその都度提示してくれ!また、明日の朝に今日の報告を頼む。」
「「「『『『はい。(分かりました。)』』』」」」
決まった事は次の通りだ。
1)敵の把握
・移転陣の特定
・異世界での偵察・監視
2)防衛力の強化
・仲間の新規獲得
・戦力の強化(レベル上げ等)
3)敵の殲滅
・罠の設置
・奇襲攻撃の計画・実行
会議室には、秋実、夏とそれに若干の人が残っていた。
「それにしても、パラディスや秋田にもモンスターの同時に侵略が来たなんて、人為的な仕業わよね?」と秋実。
「その可能性が高いと思ってるよ。それにオークの上位種が率いている辺りも同じ様子だからね。」
「それにしても、秋田から情報が入るなんて……私がいるのに他の女とメールしてるなんて………夏っちゃん、どう思う?」と秋実。
「こんな可愛い彼女さんがいるのにダメだと思います!
百歩譲って、メールの内容もちゃんとした情報収集の様だから良いけど……見張っておいた方が良いです。まあ、こんな世の中なんで、直ぐに飛行機で会いに行けないから、万が一の事は起きないでしょうけど……。」と夏。
「何変な事言ってるんだ、万が一の事なんて起きないよ。俺には秋実がいるし、東松野さんとはそんな感じじゃ全く無いから!」
「「焦ってるのが怪しい」」
2人がジト目で俺を見てくる。
「(綺麗なのは確かだけど)本当にそんなんじゃ無いから。」
「何か本当に怪しいですね。」と夏。
「冗談のつもりがそうじゃないかも…。」と秋実。
「じゃあ、どう言えば良かったのだよ!」
「言い方というか、何か顔に出てたのよね。」と秋実。
綺麗と思ったのが顔に出てたのか……。
「別に普通だったけど……、そんな事より、仲間の新規獲得へ向けての基準を秋実と夏には、設定して欲しいんだよ!」
「……まあ、この話は一旦ここまでで良いでしょう。 仲間の受入基準の設定の件ね。それは、私達が中心になって、色んな人の意見を取り入れながら決定するわ。とりあえず、素案は考えてあるから、あと揉むだけと思ってるわ。」と秋実。
「流石、秋実さん。寛大な心と素早い仕事ですね。冬夜、こっちの件は私達に任せてくれて大丈夫だから!」と夏。
夏は片手をあげてピースサインをしてくる。
「はいはい。頼んだよ。」と言いながら、その場を後にした。
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