第115話 ※三人称視点
<三人称視点>
冬夜達がモンスターの奇襲を受け始めた同時刻。
秋田の東松野の拠点。
東松野の隣の拠点から、彼女の拠点へ通信魔道具によって緊急連絡が入った。
『モンスター500程の大群に攻撃を受けている。至急、応援願う。』
短く書かれているが、重大な内容が記載されていた。
東松野の拠点は、これまで同規模(500人〜1000人)の周りの5拠点と協力しながらモンスターと戦って来ている。
こういった小規模の拠点は、一蓮托生であり、一箇所の拠点が破られると、順番に次々と拠点が壊滅する可能性があり、大規模な襲撃などに備えて連携同盟を敷いている。
東松野の拠点は、500人程度の人数であり、そこから300人程の討伐隊を組んで援軍に出発した。
勿論、この300人の中には、東松野も含まれている。彼女は、火魔法スキルを所持しており、拠点の中でもメインアタッカーの一人だ。
周りの拠点からも、各300人〜500人程が出陣して、4拠点で合計1500人ほどが援軍としてモンスターの大群と戦った。
ここへもオークの上位種であるオークエリートが1体出現しており、戦いは熾烈を極めた。
ただ、モンスター500対人間600で始まった戦闘も、蓋を開ければ人間側に戦闘職1500人程の援軍が出現したことにより、甚大な被害が出る前にモンスターを討伐することができた。
それでも、モンスターの必死の抵抗があり、200人程の人が犠牲となったのだった。
――――――――――――――――――――
これは、地球だけに起きた事だけでは無かった。
異世界の町。
ガマズミ町もモンスターの大群に襲わえれていた。ただ、異世界ではそれほど珍しいことではない。冬夜達が頻繁に通っていたガマズミ町も例外ではなかった。そのため、大抵の町では、そこまでの被害が出ずに済む。
大きな理由は、冒険者達が存在することだ。
彼等は、日々のクエストの中で鍛えられており、レベルが20〜30の人が多々いる。(地球でもっともレベルが高い人でもレベル20に達していない。※冬夜を除く)
また、冒険者達は、モンスター討伐も慣れており、ゲームやナノべでお馴染みの様にバランスが良いPTを組んでいる。
これら冒険者のお蔭でガマズミ町などの異世界の町では、比較的被害を出さずにモンスターの大群の侵略を鎮めている。
そして、ガマズミ町が殆ど被害が出なかった大きな理由は、レベル40超えの5人組からなる冒険者PTが滞在していた事だ。
レベル40を超えるのは、異世界でも一握りの存在だ……。レベルを上げるのは、自分の命を掛けなくてはいかず、更にレベルは、高くなるほどに必要な経験値が増加する。
なお、ガマズミ町は、冬夜の拠点を襲ったオークジェネラル率いる500もの大群が押し寄せていたが、殆ど被害が出なかったのである。
ただし、冒険者ギルドを配置できない村には、500程のモンスターの襲撃は死刑宣告となる。
今回の様なオークエリートなどの上位種がいなくても、例えばゴブリン100程の集団で100人〜200人規模の村が襲われれば、村は全滅となる可能性が高い。
それは、農業で生計を立てる事が多い村では、戦闘が出来るものが極端に少ないのだ。戦闘スキル持ちは0では無いだろうが少ない、戦闘スキルを得た人は、冒険者や騎士を目指して田舎を出る事が多いからだ。
この時、地球、異世界の両方を股にかけて、モンスターの侵略が始まっていた。
これは、地球と異世界の同調率が一歩進んだ事により、互いに転移出来る法則が変わった事を意味する。
そして、様々な陰謀を巻き込み話は進んで行く。
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