第113話


 数多の配下の犠牲によってもオークジェネラルは未だ健在だ。


 ただ、さっきまでの余裕がオークジェネラルから消え始めているのも事実だった。そこら中に傷が出来ており、出血している。それにより、動きが鈍くなったのは確かだ。



 俺は配下の犠牲を無駄にしない為にも、最後の勝負に出るのだった。


 オークジェネラルと俺の剣が交差する。


 さっき程まで圧倒的に力負けしていたが、傷を負った利き腕では以前の様な力は無い。それでも、俺が押されている事には変わりなかった。


 3回4回と剣と剣がぶつかる度に体勢が崩される。


 そして、俺はオークジェネラルの大剣を上手く捌ききれずに押されて体勢を崩した所へ強烈なパンチを受けて、吹き飛ばされた。


「ぐはぁっ!!」


 壁に激突して腹と背中に激痛が走る。オークジェネラルのパンチによって俺の肋骨が折れたかヒビが入った様な痛みだ。


「っうぐぅ……。」痛みで立ち上がるだで顔が歪んでしまう……。


 俺のそんな姿を見たオークジェネラルが勝利を確信したかのように醜い笑みを浮かべる。オークジェネラルはこの瞬間、確実に油断していた。


 その一瞬の隙きを突いて、2本のバリスタの矢がオークジェネラルの足と腹部に突き刺さった。『ブゴォォーー。』大きな叫び声が鳴り響く中、更にオークジェネラルの頭上に大きなタンクが出現した。新谷が収納スキルで出現させたのだ!


 オークジェネラルの足に突き刺さっているバリスタの矢は、地面にまで達しており、オークジェネラルの移動を阻害する。


 避けきれないと悟ったオークジェネラルが大剣でタンクを一刀両断すると………中は無透明の気体だけだった。


 そこへアークが火矢を放つ……俺は、咄嗟にオークジェネラルに背を向けて、背中を盾で守るようにしながら地面に這いつくばるように身を低くした。


 ドガガガガァァァァーーーーーーーーン。


 オークジェネラルを中心に爆発を起こした。近場の防壁も一部吹き飛んでいる。


 舞い散っていた土煙が止むと、大きな影が見え始めた。そして、その影は片足を引きずりながら俺の方に向かって歩いて来た。


 俺は脇腹の痛みを歯を噛み締めて我慢して立ち上がり、オークジェネラルへ向かって剣を構える。


 オークジェネラルは全身大火傷を追って爛れており、肺の中まで爆発で焼かれたのだろう……口も爛れていた。生きているのが不思議なくらいの状態であるが、一歩一歩近づいて来る。


 ズッボッ!!ズッボッ!!


 バリスタの矢がオークジェネラルの頭と心臓辺りに刺さり、オークジェネラルは光と共に消え失せたのだった……。


「「「『『『や、やったーーーー!!(うおぉぉーー)』』』」」」


 周りでは仲間達が互いに喜び合っていた。


「取り敢えず、何とかなったか……。」



「冬夜ーーー!!」


 秋実が走って俺に抱きついて来るが、「痛ててて!!」肋を抑えて蹲るようにして両膝をついた。


「ごめん、大丈夫…?」


「ちょっと大丈夫じゃない、肋骨数本にヒビが入ったか折れてると思う。ポーションまだあったりする?」


「まだあったはずよ。それまでの間、取り敢えずヒールを掛けておくね。」


 秋実が俺にヒールを掛けてくれながら、ポーションを持ってくるように指示を出している。


「その前に正門を修復しておかないとな、今の状態で攻められたら、今度こそこの拠点はお終いだ。」


 その後、動ける状態まで回復した俺は、まず正門を修復すべく動き出したのだった。


 ただ、現在、戦闘ができる配下は、7人しかおらず全て後衛職である。


 オークジェネラルを討伐して喜んだのもつかの間、いつモンスターの第二波が来るかも知れない不安を抱えながら24時間を過ごす事になった。



 そして、次の日の明け方、やっと配下を元の数まで召喚して、安心して眠ることが出来た。




 それにしても、今回の大規模なモンスターの侵略に対して、更なる施設の防衛能力向上や人員不足を痛感した。そして、これから対策をしなければならない事に頭を悩ますのだった。



 また、忙しくてそれ所では無かったのだが、この時、通信魔道具に他所から多くの連絡が入っていたのだった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



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