第97話



 野菜販売の話が大方纏まると、次の話を始めた。


「トマスさん、もう一つ相談なのですが、将来的に屋台でも良いので料理を販売したいのですが、俺達でもやる事は可能でしょうか?」


「可能です。ただし、お客様とのトラブルに関して商業ギルドは一切責任を持ちません。全て自己責任となりますので、その点はご注意下さい。

 また、契約は販売スペース代に加えて、別途屋台や料理機材の貸出も可能ですが、如何なさいますか?」


「先程話した通り、将来的な事なのですぐに販売を開始したい訳ではありませんが大丈夫ですか?」


「それは大丈夫ですよ。開始時期等に見通しが立てばそのタイミングで申して下さい。」


「わかりました。屋台や機材を借りるかどうかですよね。だったら、貸出品を参考に見せてもらってから判断させて下さい。多分彼女秋実さんの希望もあるでしょうし。」


 俺が秋実さんの方を見ると秋実さんは軽く頷いた。


「是非、参考に屋台を見せて下さい。」と秋実さん。


「分かりました。ただ、貸出し屋台や道具類はここより少し離れた場所で、別の業者が管理しております。今日はちょっと……時間が遅いので無理なので、明日でもよろしいですか?それまでには準備をさせておきます。」


 秋実さんが俺の方を見て来る。


「って事だけど明日でも良いよね?」


「うん明日でも良いよ。他にも魔道具類も見たいし、この機会に色々と確認しようよ!」


「OK〜、そう言ってくれると助かる。

 では、トマスさん貸出しの屋台や道具類は明日に見せてください。」


 結構、俺達は今日・明日とガマズミ町へ滞在する事にして、明日に屋台などを見せて貰う様に手筈を整えた。因みに既に良い時間帯なので、魔道具類も明日見せて貰うことにした。


 ・・・・・・・・・・・・・



 次の日、既にお昼過ぎになっている。


 俺と秋実さんの2人は、屋台と道具類を見せてもらい終わった。

 実はこの前半に魔道具類を今回ガマズミ町へ来た全員で見せてもらった。その後屋台と道具類の確認時には、みんな解散して結局俺と秋実さんの2人になっていた。(たぶん、みんなが気を使ってくれたのだろう。)


 紹介してもらった主な魔道具は、次の通りだ。


 <日常用>

 ・温水供給魔道具(お風呂用)

 ・浄水魔道具(お風呂・飲料用)

 ・照明魔道具

 ・冷凍魔道具(業務用冷凍庫)

 ・通信用魔道具(文字を送受信可能)

 ・収納魔道具(大量の荷物を収納可能)


 <探索用>

 ・攻撃魔法魔道具(杖から攻撃魔法が発生)

 ・魔力保管魔道具(魔力・魔法を一時保管可能)

 ・魔除け魔道具(下級モンスターを遠ざける効果)


 色々と紹介してもらったが、一番興味があったのは、『収納魔道具』だ。異世界物の小説でも欠かせないアイテムだし、現実にこんな事が起きると絶対欲しい。

 収納スキル持ちの新谷が全て移動において同行することは不可能だ。素材回収や物資収集においても収納魔道具は絶対に必要になってくる。早めに収納魔道具を購入したいが、値段が高かった。


 その他にも色々な種類の魔道具を紹介してもらったが、あまり使えそうにない物ばかりだった。



 屋台に関しては、どれもこれも大して仕様が変わず、簡単な台の組み合わせだけで、広さが異なる程度だった。これなら、日本から持って来た方が目を引くだろう!


「屋台に関しては、自分達で用意した方が良い感じかなぁ〜〜。私はもっとお洒落な感じを想像してたんだけど……見せてもらったのが市場で並んでいた屋台と変わらなかったし……。」


「そうだね。拠点に戻って近場で何か調達するか、自作するのがベストな感じする。俺も手伝うし一緒にDIYでもしようよ!!」


「うん!そうしよう。どんな風な装飾が良いかイメージしておくよ。イメージ案が固まってきたら相談するから、その時によろしくね!」


「わかった。俺も少しは貢献できるように屋台のイメージを考えておくよ。」


 そう言って、商業ギルドを後にしたのだった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆


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