第87話 ※三人称視点
<三人称視点>
そして、櫻鉄組の若頭は、集まった組員へ怒りをぶち撒けるのだった。
「なんじゃこの状況わ!何で半日で組員が半分以上殺されとるんじゃ!」
ドン! 若頭が机を手で叩く。
「何か一連の犯行についての情報を持っている奴はおらんのか!」
若頭は席を立ち直立不動で立っている組員達の方へ歩いて行く。そして、一番手前に立っている組員の頬を平手打ちで叩く。
「ワレは何か知っとらんのか?」
組員が「知りません。」と答えるとその組員の頬をまた平手打ちで叩く。そして、次の組員に順々に問いて行く。
6人目の組員が頬を叩かれた時の事。
本部の入口のドアが開いて、冬夜達に捕まっていた始末屋の2人が中に入って来た。
「「嫌だやめてくれ!」」
いや、部屋の中に無理やり入れられたとの表現の方が正しかった。
さっきまで口をガムテープで塞がれ、手を後ろで縛られていた2人は、隠匿スキルでその姿を隠されて櫻鉄組の本部へ連れて来られていた。
そして冬夜達は隠匿スキルと拘束を解いて約束通りこの始末屋の2人を約束通り無事に解放したのだ!
ただし、解放した場所が彼等の拠点だった。しかもご丁寧に彼等の背中には、『原因は俺等』と書かれた紙が貼られていた。
「お前等は始末屋の2人じゃないか!どうして死んだと思われたお前等が此処におるんかのう?」
若頭と組員達がこの2人を取り囲む。
そして、若頭達はこの始末屋の2人が何かしらを知っていると判断して、色々と聞き出す様に部下へ指示を出したのだった。そして、嫌がる2人を若い衆4人が拷問用に用意された施設へ連れ去ったのだった。
今まで始末屋として幾人もの命を奪って来たこの2人は、全ての情報を喋った後も延々と地獄の様な拷問を受け続けるのだった。
その間ずっと地下の拷問部屋からは、悲痛な叫びが延々と聞こえたのだった。
・・・・・・・
その後も櫻鉄組は次々と拠点を潰されて、ついに本部を残すだけとなり再起不能な状況にまで陥っていた。
櫻鉄組の本部の一室には、組長、若頭、裸の女が数人いた。
「組長もうダメです。残念ながら組はすでに修復不可能な状況です……。別の場所で再起を図るしか無いようです。」
「役立たずしかおらんのう。仕方ない前川原組へ相談するしか無いか。女でも手みあげに持ってけば少しは待遇も良くなるかのう。」
組長の部屋のベッドで横たわっていた女達が起き上がって組長へ抗議の声を上げた。
「組長さん、私は1ヶ月間貴方のゆうことを聞けば、弟の借金をチャラにしてくれるって言われてずっと我慢して来たんですよ!話が違いじゃないですか!」
「私もです。1ヶ月間という約束で絶えて来たのにこれじゃあんまりです。」
組長は女達のそばへ立つと女達の腹へ殴る蹴るの暴行を加え始めた。
「うるさいんじゃ阿婆擦れが!そんなもんワシの一存でどうとでもるんじゃ。ワシが無かった事といったらそうなるんじゃ!ボケがぁ〜〜。」
この女達は、戦闘系のスキルを授かっておらず、組長の力の前に何も出来ずにただ暴力を受けているだけだった。櫻鉄組はこういった弱いスキル持ちの家族をターゲットにして、家族の誰かを借金漬けにすることにより、お目当ての若い女性を確保していたのだった。
「嫌ぁぁ〜〜〜。痛いからやめて下さい。」
「きゃあぁぁ〜〜〜〜。もう、許して下さい。」
「お前等は今まで玩具として有能だったからキツイ事はしなかったが、今お前等がどんな立場なのか、きっちり体に教えこまんと駄目じゃのう。」
「……組長、今はそんな事している場合では無いです。既に櫻鉄組はほとんど壊滅させられてます。いつここが襲われるか分かりませんので、一刻も早く前川原組へ逃げるべきです。」
「……っち、まあ確かに悠長にしとったら不味い状況じゃのう。若頭は取り敢えずこいつらに服を着せて連れてこい。まだ十分に玩具として使い物になるから手土産として連れて行くぞ。」
「「「ぅううう……。」」」
女達はこれからの自分達の運命を考え絶望の中で泣いていた……。
組長が身なりを整えて若頭達と一緒に櫻鉄組の本部を出発しようとしたとき、本部の扉が何者かによって壊されたのだった。
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