第86話 ※三人称視点
<三人称視点>
櫻鉄組では、少し慌しくなってきていた。
ことの始まりは、2日前に『始末屋』の組織の大半が遺体となって発見されたのだ。
しかも、体に大きな穴が空いており、それが致命傷となっていた。明らかに誰かしらのスキルの仕業だった。
その日の『始末屋』は、2人組の運搬業者の始末の仕事を受けていた。
運搬業の2人は、異世界からの帰還も数回達成しており優秀だったが、ウチの仕事から足を洗う事になった。
その為、組織の秘密が露見する可能性を潰すため仕方なく『仲介業者』は『始末屋』へ彼等の処理を依頼したのだ。
結果、『始末屋』からの始末が完了したとの報告は無く、逆に『始末屋』が遺体となって発見されたとの知らせが櫻鉄組にもたらされた。
櫻鉄組の組長室でのこと(朝方)。
部屋にはキングサイズのベッドが置かれており、若い女2人が裸で寝ている。
また、良くドラマなどで出てくるザ社長が座る様な大きな机と椅子が設置されており、その椅子には組長が座っている。そして、組長の股間に女性がしゃぶりついているのが見える。
「どうなっとるんだ若頭!?まだ、例の奴等は見つからんのか。たかが2人組だろう?」
「すいません。賞金を掛けて情報を得ようとしているのですが、金欲しさに出鱈目な情報を入れる奴もいるしまつで……正確な情報が得られず手こずってます。町を出た可能性を考慮して広範囲に捜索してますので、もう暫くで発見するかと思います。」
「そうか、ところで代わりの始末屋は見つかったのか?始末屋がおらんと何かと面倒だからのう。」
「代わりの始末屋は、ある程度目星を付けていたので、条件等の最終調整だけで直ぐに済みます。」
組長は下半身の動きに集中して、股間の目の前の女の頭を押さえ付けると、自分の欲求を吐き出した。「っぅう、ケホケホ。」
そして、「そうかそうか。新たな始末屋の方は順調なのか。」と組長は、まずまず機嫌が回復した。
「引き続き、何か有れば連絡しろ!」
「わかりやした……。」
そう言って、組長はベッドに横たわる女に覆い被さるのだった。「「キャッ。」」
そして、少し時間が経過した昼過ぎ頃。
櫻鉄組の賭博業者の拠点4箇所が同時に何者かに襲われ、賭場にいた組員は全て遺体となって発見された。
殺害方法に一貫性は無く、遺体は剣で斬りつけられたような鋭い切り傷が残されていたり、頭を潰されていたり、首がへし折られていた。
賭場を訪れていた客からの情報では、大柄の男が多数現れて瞬く間に組員が殺害されたとの事だった。
更にその1時間後、櫻鉄組の風俗店の主要な拠点6箇所が同時に何者かに襲われ、そこでも組員は全員殺害された。そして、その風俗店で劣悪な扱いを受けていた女性達は解放されたのだった。
次々と櫻鉄組の拠点が潰されていき、その日の内に8割近い組員が何者かによって殺害された。
櫻鉄組の組員は一旦本部へ招集されて、そこでは緊急の会議が開かれていた。
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