第81話
俺達は商業ギルドへの登録と魔石の換金を終わらせて、新谷さん達の方へ向かった。
新谷さん達は新規商談の目玉商品の納品業務だけだったので、比較的に短時間で業務が完了しており、俺達の手続きが終わるのを待っていた。
「お待たせしました。これが入町時にお借りしたお金です。ありがとうございました。」
俺はそう言って、銀貨1枚渡した。
「じゃあお釣りが大銅貨2枚っすね。」
「いや、それは手間賃として取っておいて下さい。そう言えば、預かって貰っているオーガの素材を冒険者ギルドで引き取って貰いたいのですが、今から時間ありますか?」
「まだ大丈夫っすけど、あそこは野蛮な人が多くて……苦手っす。」
「やっぱりそんな感じの場所なんですか?」
今度は加賀さんが答えてくれた。
「自分達も2度ほど冒険者ギルドを訪れましたが、ワイルドな人種が集まっている感じでした。建物の中に酒場が併設されていて、夕方頃………ちょうど今頃から徐々に仕事上がりで食事をしている
「なんかすみません。」
「いえ、本当は帰宅を一日遅らせても良いと思うのですが、依頼の都合上駆け足になってしまって……。」
「俺達が無理に護衛という形を取って、ついて来させてもらったので気にしないで下さい。」
俺達は商業ギルドを後にして冒険者ギルドへ向かった。
冒険者ギルドのカードも発行するのに手数料が掛かるらしいが、魔石の売却により資金は潤沢にある。
10人もの大人数で冒険者ギルドへ入っていく。
既に仕事を終えた冒険者達は酒場で食事を取っており、俺達は冒険者ギルドへ入って来ても別に注目されること無くすんなりと入れた。
ただ、仕事の報告待ちや報告中の一部の冒険者達は俺達の様子を伺っていた。
冒険者ギルドの窓口はいくつかに分かれており、ギルド新規登録および発注依頼の窓口は誰も並んでいなかった。受付の人ですら仕事の報告窓口の方を手伝っているのか居なかった。逆に仕事の受注・報告窓口は人が集まっている。
ギルド新規登録の窓口に置いてあるベルを鳴らすと、暫くすると奥の方からちょっとベテラン風の女性が現れた。
「ご要件は、何でしょうか?」
「8人分の冒険者ギルドの新規登録をしたい。」
「分かりました。ではこちらの用紙にお名前と職業を記載し、血を一滴付けて下さい。ギルド証の発行手数料に1人銀貨1枚必要となります。
なお、皆さんは異世界から来られた方ですよね?最近、地球と言う異世界から来られる方々が冒険者ギルドへ登録し、無茶をして死亡する事故が多発しております。また、他の冒険者との揉め事も多発しておりますので、ご注意下さい。他の冒険者との揉め事に関して冒険者ギルドは、階級の降格や場合によってギルド証の剥奪などの厳しい措置を取らせて頂く場合があります。繰り返しになりますが、ご注意願います。」
俺達は用紙を受け取って各々記載し終わると、専用の針に指を当てて血を一滴用紙に付けた。
「これが人数分の用紙と手数料になります。あと早速なんですが、討伐したモンスターを引き取って欲しいのですが可能でしょうか。オーガを引き取って貰う事も今回の目的の一つだったので……。」
「モンスターを素材として引き取る事は可能です。引取対象は、私の聞き間違いじゃ無ければオーガですか?」
「はい、オーガ4匹とオーク3匹になりますが……不味かったですか?」
「………いえ、新人冒険者にとって、オーガは強敵ですのでちょっと驚いてしまっただけです。しかも、オーガ4匹の討伐だと、既に銅級冒険者のレベルを超えてますね。取り敢えず、解体担当者を呼ぶので解体スペースにオーガを納品して下さい。」
暫くして解体担当者が来たので、新谷さんと加賀さんにモンスターの納品をお願いした。俺達は、その後も受付の女性から冒険者ギルドの説明を受けるのだった。
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