第78話
「はぁはぁ。」
俺とハンクが最後の1匹のオーガにトドメを刺した。
最初の戦闘の後、3つモンスターの集団が時間差で押し寄せて来た。激戦となり、全員が全員無事とはいかなかった。
狩りに狩った。
オーガ4匹、オーク8匹、ホブゴブリン5匹、ゴブリン17匹、ウフル6匹、ストーンラビット9匹。
こっちの被害は、アーク、ガラム、シードの3人がカードへ変換された。その他重軽傷者が多数だ……。
ガラムは俺がオーガ2匹を相手している時に俺を庇ってモロに攻撃を受けてしまってカードへ返還された。ガラムは命に変えても俺を守るとの約束を守ったのだ。
そして、ハンクをレベル10まで上げて無かったら、この数を捌くのは難しかったかもしれない。ハンクはレベル10になりオーガをサシで倒せる所まで成長している。
なお、ここはマイスペースじゃないので、減った配下を増員することが出来ない。更に慎重に進む必要がある。
新谷さん達は、犠牲者が3人も出たことを大変申し訳無さそうにしている。流石に死者(カード返還)が出て「別にいいですよ(問題ないですよ)」とは言えないので、「仕方のない犠牲でした……彼等のためにも先に進みましょう。」などと言っておいた。
なお、ジーニャは珍しくシュンとしている。
「そんなに気にするな。アーク達に犠牲が出たが、新谷さん達は被害が出ていない。」
『しかし、妾のせいで主に怪我を負わせてしまう可能性があったのじゃ……。』
「結果、俺は無事だったんだ、もうクヨクヨするな。ジーニャがそんなんだったら、なんか調子が狂うだろう。」
『しかし、妾があの場面でウィンドカッターを使わなければこんなに苦労することも無かったのじゃ………。』
「あぁ〜〜〜もう。」
俺はジーニャを引き寄せて抱きしめると頭を撫でた。
「大丈夫だ。別にわざとやった訳じゃないのは皆知っている。逃げるモンスターを討てと命令したのは俺だ。それをジーニャは忠実に守ったに過ぎないよ……。」
『本当に怒っておらんのか?』
「ああ、皆も分かっている。」
『……そうかそれは良かったのじゃ………。』
俺は抱きつき返してくれたジーニャを暫し宥めるのだった。
・・・・・・・・・・・・・
元気を取り戻したジーニャと異世界の森の中を歩いている時のこと。
『そういえば、さっきモンスターが人為的に動く場合があるかどうか話していたが、1つだけ思い当たるフシがあるぞ!』
「本当か!?どんな場合だ?」
『ちょっと落ち着くのじゃ。今回の事と関係があるかは不明じゃが、ダンジョンだったらマスターの意思によってモンスターが人為的に動く!!』
「…ダンジョンか?でもここって森の中だよな?」
『だから関係があるかは不明じゃと言ったのじゃ。それにこの世界にダンジョンがあるとも限らんので何とも言えのじゃ。』
「でも異世界と言ったら……普通ダンジョン有るだろ?」
『………その普通が分からんがダンジョンが有るなら、ダンジョン崩壊で溢れ出たモンスターが人為的に動く事はあり得るのじゃ。』
「ダンジョン崩壊……スタンピードってやつか。ダンジョンマスターが地球人を意図的に狩ってるってことか? 何の情報も無いと考えようも無いな。それにこの仮説に執着していて間違っていた場合、柔軟な考えが出来ないかも知れないし……。頭の片隅に置いておくようにするよ。 何にせよジーニャありがとうな!」
『うむ、良いのじゃ。』
そんな会話をしながら俺達は森を進んで行くと、とうとう目的の場所へ到着したのだった。
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