第75話
元某都市にある高層ビルの1階エントランスに目的の魔法陣はあった。
これが、この周辺でも数十箇所発見されている魔法陣の中でも、最も生存確率が高いとされている魔法陣らしい。
幾人もの先人が残した異世界の町までのルートを新谷さん達も受け継いでいる。
その魔法陣の前に俺達13人が辿り着いた。
「ここが、僕達がいつも使っている異世界へ通じる魔法陣っす。ここから最も近くのガマズミ町まで大体6時間ほど掛かるので皆さん気を引き締めて下さいっす。」
「自分達が前回訪れたときは、オーガが1匹出てきて……一緒に同行していた方がほとんど殺られしまいました。自分達は本当に運が良くて助かっただけです。」
「まあ、そんな事を言ってもいても仕方ないし、先に進もう!」
新谷さん、加賀さんに続き俺が話をし終わると、ジーニャが話に続く。
『主の言う通り先に進むのじゃ。妾達がついておるので、大船に乗ったつもりでおれば良いのじゃ。』
「海堂さんには、こんな大勢の護衛を用意して頂いたので感謝っすが、オーガを決して侮ってはいけないっす。本当にあれは怪物っす……。」
『お主等の心配する事も有るのだろうが杞憂じゃな。任せておれ。』
『戦闘は我らに任せておけば良いので、モンスターが出た場合2人は後衛陣から離れずにいて下さい。何かあれば都度指示を出します。』
「わかったっす。その際はよろしくお願いしますっす。」
・・・・・・・・・・・・
魔法陣で転送されたが、酔うとかそういった感覚は無かった。
視界が一瞬で変化して、周辺に木々が生い茂り、森の中へ移動した形だ。
ただ目印の様に巨大な木が生えており、その根本に俺達は立っていた。
「普通の森の中にしか見えないけど……異世界なんだよな?」
「そうっすここは既に異世界っす。ここからは僕達が進行方向を指示するっす。」
そういって、新谷さん達が進行方向を指さした。
『私が先行して進んで行ってきますので、冬夜様達は5分後に出発して下さい。何かあれば直ぐに知らせに戻ります。』
斥候であるキーシャが先行して進むようだ。
隠匿スキルを持つ莉緒ちゃんを連れてきても良かったが、隠匿スキルは人数が多くなればなるほど術者の消耗が大きく長時間使用できない。未開の地なので、莉緒ちゃんを連れてくるのを躊躇してしまった。それに、莉緒ちゃんを連れてくるとなると、秋実さんと夏が連いて来ただろう………2人を危険な目に合わせるつもりは無かったので、どっちにしろ莉緒ちゃんを連れて来ることは無い。
『冬夜様の事は俺達に任せろ。キーシャも気を付けろ。何かあれば直ぐに戻ってこい。』
キーシャがコクリと頷いた後に隠密スキルを使うと目の前に居るのにその存在が一気に薄くなる。そして、彼女はそのまま先行して森の中に入っていった。
・・・・・・・・・・・・
森の中を進んで2時間程が経過する。
運が良いことにゴブリンにすら遭遇すること無く順調だ。
だが、加賀さんの考えは違ったようだ。
「何かいつもより順調過ぎて怖いくらいです。自分達がここを訪れるときは、少なくともここまで進むのに1度はモンスターと遭遇してます。それが全くないので……それにそろそろこの前襲われた場所に近づいて来ています。」
アークとジーニャが答える。
『確かに少し森が静かな気がしますね。たまたまモンスターが近くに居なくて静かなときもありますが……もしくは、モンスターが奇襲のため待機している可能性も無きにしもあらずです。』
『う〜〜ん、何かこの先から嫌な予感がするのじゃ。お主等の言うこともあながち間違いじゃないかもしれん。』
その時、先行していたキーシャが突如現れた。
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