第69話



 竹光家族と鳥海家族が俺達の拠点を初めて訪れた時の事。


「何でこんな山中にこんな立派な外壁があるんですか……。」


 みんな唖然としている。


 2つの外壁のうち外側の外壁は、施設ポイントを2使って設置している。

 壁の厚さは3mあり、高さが6mある。

 コンクリートより硬いコーティングを施しており、初級の魔法程度であれば問題無く防ぐ事が出来る。


 大きな門を潜ると、田畑・家畜エリアである。

 拠点のマンションを正面にして、右側が畑エリア、左側が田んぼエリア、マンションの裏側が家畜エリアと大まかに区切っている。


「さっきのが第二外壁です。モンスターの侵略からこの田畑や家畜を守る為に設置してあります。」


「数ヶ月でここまで凄い外壁を建ててあるなんて……。スキルの力ですか?」


 竹光さんから質問があがった。


「その通りです。俺のスキルで外壁や拠点は建てました。マンガみたいにポンポンと出せる訳では有りませんが、条件を整えれば色々な設備を設置可能です。」


「それは、例えば、発電所なども設置出来たりするんですか?」


「う〜ん…どうでしょうか?試した事が無いので分からないです。ただ、太陽光発電システムは設置する事が出来ましたよ!」


「っえ、じゃあ電気が使えるんですか!?」


 女性陣の食いつきが凄かった。


「まあ、そうですね。発電量などの関係で制限はありますが、これまで夜間でも電気に困った事は無いです。拠点は、日々進化させていますし、結構凝った作りにしてますので、快適だと思いますよ。」


「じゃあ、夜は照明を付けて、暖かいベッドで寝れるのですか?」

「お風呂、トイレ、キッチンなんかもあるんですか?」


 女性陣は拠点に興味深々である。


「勿論そういった設備は設置してあります。その他にも食堂や娯楽施設も完備してます。それは追々説明しますよ。 それよりも、家畜のいる場所へ案内しますね。」


 ・・・・・・・・・・・


「ここです。まだ、ニワトリにヤギしかいませんが、豚・牛・羊なども飼育できればと考えています。」


「でしたら、私達が居ればすぐにでも対応出来ると思います。既に連れて来ております!!莉緒ちゃん、隠匿スキルを解いてもらっていい?」

「は〜い。分かったよ。えい。」


 すると、近くに牛5頭と豚6頭が現れた。

 それと共に家畜特有の匂いも漂ってきた。


「可能であれば、牛小屋と豚小屋を設置して欲しいのですが可能ですか?」

「それに餌の保管場や道具置き用の小屋も頂けると助かります。場所はこの辺りでお願いします。あとは―――――。」


 既に移住することが確定しているかの様な行動を取っているな………。他の人を見ても既に此処に移住する気満々のようだ……。


 小屋などを建設する材料は用意してあり、建設ポイントもあと2つ残してあるので直ぐにでも設置出来るが……、今後のためにも建設ポイントは1つは残しておきたい。更に、移住も正式に決定していない状況下で、全ての要望をホイホイ叶えてしまうのは、今後の為にならない。


 ちょっと、押さえを効かせるためにも敢えて俺は厳し目の口調で返答をした。


「まあ、色々と要望を出してくれるのは有り難いが、俺のスキルは有限であり、全ての要望は叶えられない。早急に必要だと思う建物を1つだけに絞ってくれ。そして、それ以外の建屋は、自分たちで建設してもらうことになる。」


 女性陣の取りまとめ役なのだろうか、年配の京香さんが代表して発言した。


「……そうですね。分かりました。でしたら、慎重に考えて別途提示させて頂きます!」


 何か熱がこもっている気がするが…。


「あ、ああ。よろしくお願いします。」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆


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