第67話
「今回は助けてくれてありがとう。
皆が俺達に向かって頭を下げた。
寧々とは、俺がオークの投槍から救った女性のことらしい。
そして、年の男に続き、年配の女性が話しかけてきた。
「本当にありがとうございました。寧々は私達の娘なんです。あの時助けて頂けなければ今頃……。」
「頭を上げて下さい。まあ、助かったから良いじゃないですか!!それに俺の憶測ですが、俺達が此処に来なければ、あなた達はどうにかして今回の襲撃を回避していたはずだ!」
今度は年配の男が話し初めた。
「そうですな。海堂さんの言う通り、確かにあなた方が此処に来なければ我々は、スキルの力でいつもの様にモンスター達の襲撃を回避できたでしょうな。そう、いつものように逃げ延びたに過ぎません……。そこでこれからお願いなのですが……虫が良いのは重々承知なのですが、海堂さんの様に強い方々の傘下に我々を加えて頂けないでしょうか?」
「剛さん、そんな事俺は聞いてないぞ!? 大体この子達がここへ来なければ今まで通りに生活出来たじゃないか!」
「真也くん……君の言う通りだ。今まで通り逃げ回りながら過ごす事になるんだよ。これからもずっとだ………。だったら、海堂さん達の様に強い組織の傘下に入るのも一つの選択では無いだろうか? もうそろそろ、女性陣も限界が近くなって来ているのは明らかだ……。」
「だったら、傘下に下るなら聖域都市など選択肢はもっと多数あるじゃないか。直ぐに決める必要があるんですか?」
「確かに傘下に下るなら聖域都市なども選択肢の一つとしては良いと思うが、果たして我々のスキルが有効に使われるだろうか?聖域都市などは既に多数の人々で溢れかえっている。そんな中で、最低限の生活を送るためだけの収入をどうやって得るかだ。 傭兵なら既に山ほどいるだろう、だったら彼女たちのスキルを有効活用するために山中のような広い土地があった方が良いと思うが……どうだろうか?」
中年の男は、暫し黙り込む。
「………確かに、剛さんの言う通り、俺もこんな暮らしをそう長く続けられないと薄々感じていました。ただ、それを彼等の拠点の状況を把握しないまま決めてしまうのは時期尚早ではないだろうか?」
ここで年配の女性が間に入った。
「真也さん、彼等はこんな見ず知らずの私達にを無償で助けてくれたんですよ?あんな大群のモンスターに向かって先頭を切って………それだけで彼等は信用に足る人達だと、私は思いますよ。」
「私も妻に同感だね。」
「確かにそれは…………私もあのモンスターの大群を見て半分は諦めていました。誰一人死なずに生還出来るなんて奇跡ですよ。」
………そろそろ、良いかな。
「あの〜〜〜、俺が何も発現しないまま話が進んでいるんだが、ちょっと良いですか? そもそも、俺はまだあなた達を拠点に入れると決めた訳ではないですし、名前すら知らないあなた達を信用した訳でもありません。良い人達だったら、貿易を行いたい程度だったので、このままだと俺は何も判断出来ないですよ。」
「「「…………。」」」
「そこで、仮にウチの拠点に来たいのでしたら、俺の信用を得るためにもまず、さっきほどから言っているあなた達の特有のスキルを教えて貰えませんか?」
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