第65話
「キャーーーーー。」
俺達が、この場を立ち去ろうとした時、近くから女性の叫び声が聞こえてきた。
男2人が俺達を疑ってこちらを睨んでくるが、俺達には何の検討もつかない。
「まさか、あんた達の仕業か!?」
そして、次の瞬間、何の仕業か判明したのであった。
「モンスターよ。ウルフにオークも居るわ。皆逃げてー!!」
「すまない、失言だ。」
「いや、良いよ。それより、戦力は大丈夫なのか?」
「戦えるのは俺ら2人だけだ。あっちの女性陣は、全くだ!」
「だったら不味いな、俺達も加勢する。 ハンク、ゼネブ、俺達も助けに行くぞ!金安君と近藤君は距離を取って、後方支援に徹してくれ。」
『『了解だ。(……承知した。)』』
「「わかりました。」」
俺達全員で悲鳴が聞こえた方へ向かうと、数人の女性がこっちへ向かって逃げて来る。モンスター達は、家畜達を獲物として攻撃をしていた。今のところ人に被害が出ている事は無いようだった。
相手はゴブリン6匹、ウルフ3匹、オーク3匹の混合部隊である。
ゴブリンは家畜を狩るのに夢中になって、俺達のその出現に気付いて居なかった。ウルフとオークはこちらを警戒する。
初手として遠距離から牽制が良いが、今日のメンバーに弓矢や攻撃魔法を使える者は居ない。
「…まず数を減らすぞ、俺とゼネブは家畜に夢中になってるゴブリンから行くぞ!ハンクは1番厄介なオークを頼む。俺達が合流するまで何とか耐えてくれ!」
俺が声を掛け終えると同時くらいに、オーク2匹が手に持つ槍を投げてきた!
その槍は勢い良く金安君と逃げて来た女性1人を目掛けて迫ってくる。
「ゼネブ、金安君を頼んだ!」
ゼネブは金安君の前に立ち塞がり、盾術により何とか投槍を弾いた。
俺は急いで逃げて来た女性の近くまで行き、何とかギリギリ投槍を叩き落とす。
『ブギィィィィーー!』
オーク達は投槍で獲物を仕留められなかった事を悔しがっている様だった。
「あ、ありがとうございます。」
震える様な声で俺が助けた女性が声を出す。
「そんな事は後で良い、兎に角逃げてろ。 遠距離攻撃を打てる奴はゴブリンから倒してくれ!今度こそ行くぞハンク、ゼネブ!」
俺は地を蹴ってゴブリン共に迫る。
狩りに夢中になっていたゴブリン達は流石にオークの叫び声で俺達がいる事を気付いてしまった。
ゴブリン達はターゲットを家畜から俺とゼネブへ変更する。
ウルフ達は俺達を警戒して、まだ動かずに威嚇している。(これは助かる。)
オークは更に奥でブヒブヒ言いながら、ノソリノソリと徐々に近付いてくる。
そこへゴブリン達の出鼻を挫くかの様にファイアボールが襲う。
年配の男が俺の言う通りに攻撃してくれた様だ。
仕留めきれていないが、不意の攻撃でゴブリン達は混乱している。
俺は手負いのゴブリン2匹の首を掻き切る。
そこへバットのフルスイングの様に棍棒が迫って来るが、俺は一歩引いてその攻撃を避ける。
当たれば結構なダメージを受けたかも知れないが、避けてしまえばいどうって事はない。
フルスイングしたゴブリンは、棍棒の遠心力で少し体を引っ張られて、体勢を崩す。
そこを狙って、俺は剣を真横に振ってゴブリンの首を跳ねる。
俺が3匹のゴブリンをやっつけている間にゼネブは、盾を真正面に構えて軽自動車の如くゴブリン達へ突っ込んで行く。
1匹2匹とゼネブの突進をまともに受けたゴブリンが吹き飛ばさせる。
そして、ゼネブは既に重傷を負って転がっているゴブリン2匹に止めを刺していた。
ハンクはオークの目の前まで進んでおり、オーク達の進行を止める。まだ少し距離がある。
ウルフは3匹とも既に動き出していた。
ウルフは、俺とゼネブに1匹づつ、残りの1匹が大回りをしながら後衛達を襲うよう動き出す。
「後衛にウルフ1匹が行った、少しの間どうにかしててくれ!絶対に死ぬなよ!」
ウルフ1匹が俺の左側面から襲って来る。俺が盾でウルフの噛みつき攻撃を防ぎ、正面から来るゴブリンへ突き攻撃を仕掛けゴブリンの肩を貫くとそのゴブリンは棍棒を落とし喚いている。そのゴブリンへ俺は蹴りを入れて近藤君達がいる方へ吹き飛ばす。
「トドメを頼む!」
それだけ言って、ウルフの方を向くとウルフは俺を無視して後衛の方へ走り出していた。
その頃、ゼネブは、迫り来るウルフにロングソードを叩きつけるが、ウルフに攻撃を躱されてしまう。攻撃を躱したウルフがそのままゼネブに襲いかかり、鋭い牙がゼネブの右足を襲う。
肉を切らせて骨を断つ。
ゼネブは自分足に噛み付いているウルフの脳天に真上から剣の柄を思い切り叩き込みウルフの頭蓋骨を陥没させる。
ウルフはピクピクと痙攣して倒れた。
エミリーがゼネブの近くまで走り寄りヒールをかける。ウルフの噛み付いた傷は結構深く、ヒールだけでは完治しなかった。
その間にオーク3匹は、ハンクと戦闘を開始していた。
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