第63話
次の日、俺は金安君とゼネブ達と一緒に昨日の集落があるとの場所へ向かった。
ゼネブ達が集落があると目星を付けた位置に行くと確かに何か生活感が出ている。ただし、なぜか人の気配は愚か生き物の気配が全くしなかった。
ついさっきまで人が居た様子なのだが、不思議だ。
「ゼネブ、昨日会った人達は本当にこの辺りにいたのか?」
『ああ、たぶんこの辺りで間違いないと思う。あのちょっと開けた場所でヤギを見つけたんだ。』
ゼネブが数100mほど先の山下を指差している。
「ゼネブさんが言うのは合っていると思います。確かにあっちの辺りで昨日の方達と遭遇しました。」
近藤君がゼネブの後に続く。
「そっか〜、でも何か違和感があるなぁ〜。人がいる様でいない様な………。何か隠れてれている様な気がするんだよな。」
「でも、隠れているなら、こんな開けた所で見つからないなんて可笑しいですよ。」
確かにそうなのである。
今いるのは結構開けた感じの場所である。だが、全く人の姿が見えないのである。
「なあ、気配を消せたり出来るスキルってあるのか?」
ゼネブがエミリーの方を向く。
『ありますよ。隠密スキルがあれば、自分の存在を限りなく気付かれ難くする技があります。それ以外にも、気配を消せるスキルが存在するはずです。』
「そのスキルを使った場合、直接攻撃は当たるのか?例えば、ここでファイアーボムを使った場合、大爆発に巻き込まれれば、その人はどうなる?」
『存在が気付かれなくなるだけでそこに人は居りますので、攻撃は当たるはずです。仮にファイアーボムなんて中級魔法が炸裂すれば、跡形もなくその人は消し飛ぶでしょうね……。』
誰かに聞かせる訳でも無いが、俺とエミリーの声は少し大きくなっていた。まるで、周りにワザと聞こえるかのようにだ。
「………そうか。エミリー、魔法の練習として試しにここら一体にファイアーボムを放ってくれないか? まずは、その辺りからデカいのを頼む!」
『冬夜様良いのですか?そんな事をしたら、ここら一体が消し飛んでしまいますよ?』
「まあ、この辺りは誰も居ないし問題無いだろう。昨日エミリー達が会った人は多分ヤギを探しに来ていただけで、拠点はこの近くかも知れないがここでは無いのだろう。それなので、この辺りの事は全く気にすることは無いよ。では、頼むぞ。」
『はい、わかりました。』
エミリーが片手に持つ杖を掲げて魔法を放つ様な体勢を取る。
「発射の合図は、俺がカウントダウンをするからそれに合わせて頼む。 5……4……3……2……1…」
そして、その時、急に周りに数人の姿が現れた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」
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