4章 聖域都市パラディスの闇 ※2033年5月頃〜
第59話
「あ〜〜それだったら、あそこにいる調達関係の奴に相談すれば良いルートを知ってるかもよ!」
「どこだ?」
「……………。」
その男は無言で、手の平を出して来た。
俺は魔石が10個程入った小袋をそいつの手に乗せた。
「毎度。あそこに帽子を被って座って本を読んでいる奴がいるだろう。アツイが調達関係の話を知っているんだ。」
男は俺に説明をしつつ、小袋の中身をチェックしていた。
「ありがとう。」
俺がその場から立ち誘うとすると男は言葉を続けた。
「お〜〜こんなに入っているのか。そうだった、一つ言い忘れてた。相手が『何の用だ?』と聞いてきたら、『缶コーヒーを持った子からの依頼で、何で本を反対にして読んでいるのか教えてくれ。』と伝えろ。そうしたら、調達の関係者へ繋いでくれるはずだ。あっちは大変らしいから、せいぜい気を付けろよ!」
そう言って、男はそのまま何処かへ姿を消した。
俺は男に言われた通りに帽子を被って座って本を読んでいる女に声を掛けた。すると、さっきの男が言った通りの事を聞かれる。
「何の用だ?」
「缶コーヒーを持った子からの依頼で、何で本を反対にして読んでいるのか教えてくれ。」
「……………こっちだよ。ついてきな。」
女は路地裏の狭い道を入って、ある一軒の家の前で立ち止まる。
「入りな……。」
「ありがとう。」
家の中に入ると、殺風景な部屋に机が1つと椅子が5つあり、無精髭を生やした50代ぐらいな男が椅子に座って、本を読んでいた。
「こんにちは。」
「何だい兄ちゃん?ここに何か用かい?」
「あっちへ行ける仕事が有るって聞いたんだけど、俺向けにも何か無いかい?」
「あ〜その手の話か、悪いが今は間に合ってるんだわ。ここまで来れたのは褒めてやるが、またの機会に来てくれて。」
「だが、ここに来れば調達関係者と会えると聞いたんだ!」
「兄ちゃんも察しが悪いな、その調達関係者は兄ちゃんの目の前にいるじゃないか!まあ、そうゆう事だよ…またの機会にしてくれ。」
「………そうか、邪魔したな。」
今、俺は聖域都市パラディスにいる。
異世界の町へ安全に辿り着くルートを探しているのだが、中々そこまで辿り着くことが出来ないでいた。
自分の力を信じて適当な魔法陣に入って見るのは良いが、そんな博打みたいな事をして、俺が歯の立たない凶悪なモンスター達がいる場所へ転送される魔法陣だったなら、全滅である。
命が代償の博打なんて打てるわけがない。
その為、聖域都市パラディスで成功したとされる、異世界との繋がりを当てにして探し回っている。
まあ、それ以外にパラディスとの貿易も始めたので、定期的に来ている。
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