第51話



 ジェイドを呼んで揚石と戦いをさせる。


「今度はこいつかよ。そろそろ、あんたが向かって来たらどうだ?色男!何か検証しているんだろうが、。やるだけ無駄だ。アーハッハ。」


「その口ぶりだと何かあるんだな……。」


「俺のスキル事態が特別なんだよ。せいぜい悪あがきするんだな。」


 ジェイドが揚石と戦うとが始まった。しかも、ジェイドより揚石の方が盾術の扱いが数段上なのだ。ガラムに続きジェイドまでか……。


「俺の仮説は当たってるかもな……。」


 俺は小声で自分に言い聞かせるように喋った。




 その時、更に思いもよらぬ事が起こった。


「きゃあーーーーーーーー。」


『『『夏殿ーーーーーーー。』』』


「やっと見つけたのか、仙道は時間を掛け過ぎなんだよ。」


 夏が攫われたようだ。しかも、揚石の口から仙道という言葉が出た。

 揚石が囮で、本命は仙道だった。まさか2トップが此処に来るなんて思ってもいなかった。


 気を失っている夏を抱えた男がこっちへやって来る。


「取り敢えず、任務は完了した。先に行ってるから、お前揚石もさっさとソイツ等を始末して直ぐに追って来いよ。」


「ああ、そろそろ飽きたし最後にこいつ冬夜を始末したら、戻るわ。」


「仙道ーーー夏を放せ。」


 俺が仙道を追って行こうとすると、目の前にジェイドを倒し終えた揚石が立ちはだかった。


「まあ、色男には無理だろうが、俺を倒したらあいつ仙道を追えるぜ。今日はやっと南島とヤレルんだ。気分が良いから逃げるなら見逃してやっても良いぞ!!死ぬよりは、良いだろ。アーハッハ。」


「てめぇーーー。そうやって今まで何人に無理やり暴行を加えて来たんだよ。クズ野郎ーめ。」


「あ〜あ、俺の嫌いな言葉を言ったな………。折角気分が良いから見逃して野郎としたが、見逃すのは止めだ。始末してやるよ。」


 そうこうしている間に仙道の姿が遠くに行ってしまっている。


「俺は今からこいつ揚石をブチのめす。絶対によ!!絶対だ!! 行くぞ、揚石ーーー!」


 今は夏が連れ去られており、時間が惜しい。

 なるべく早く相手を倒したいので、最初から全力だ。


 俺は剣を鞘にしまって、右腕の拳を強く強く握りしめた。

 思いっきり、足に力を入れて全力で揚石の近くまで接近する。そして、右ストレートを思いっきり鳩尾目掛けて振り抜いた。


 ドガァーーーン。


 俺のただの右ストレートは、揚石の鳩尾を捉えて揚石を数m先まで吹き飛ばした。


「うがああぁぁぁ〜〜〜〜。」


 揚石が腹を押さえてのたうち回っている。お構えなしにジャンプして揚石の腹の上に目掛けて飛び蹴りを食らわす。更に顔面へ向かって追撃のサッカーボールキックを入れる。


「ぐがああぁぁぁ〜〜〜〜。」


 飛び蹴りにより、揚石の肋骨が数本折れて内蔵へ刺さった。更に顔面は鼻と前歯辺りが陥没している。


 揚石の胸ぐらを掴んで持ち上げる。


「何べ、おまへのスギロを2倍ごぐがべむすんがどにおでがこんなごどになぐんだ!?(何で、お前のスキルを2倍効果で盗んだのに俺がこんな事になるんだ!?)」


「お前何言っているかわかんねーよ。どうせお前のスキルは相手のスキルを上位互換でコピーするとかそんな所だろ?俺は戦闘系のスキルなんて何にも持ってないからな。だから、お前が俺のスキルを使おうが?コピーしようが?何も起こらないんだよ。今のあの攻撃は単純に俺の力だ。単純にレベルが高いだけだ。」


「はんがをぞれ…。(何だよそれ…。)」


「だから何言っているかわかんねーって。」


 俺は全力の右ストレートを揚石の腹に3連続でお見舞いした。


 ドゴォ、グジォ、ボゴッ。


 内臓が破裂して、ぐちゃぐちゃになった様な音がした。


 そして、最後に揚石の顔面に俺は頭突きをくらわせた。俺は揚石の胸ぐらを放すと揚石は地面に落ちて、腹と顔面を押さえて藻掻き苦しんでいる。


 もう揚石が助かる事もないだろう、俺は既に揚石への興味を無くし夏を追うために走りだしたのだった……。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る