第48話
俺達は、周りの追手を気にして警戒していたがその後は何も起こらなかった。
「夏〜、何かあの北上って奴ら怪しく無かったか?」
「うん。何か引っかかるわね…。」
「だよな……。助けた後で気付いたが、何か怪しいよ…。俺達は揚石達に追われたんだよな。そこまで激しくは無かったが、大規模な戦闘をしていた訳だ。それなのに揚石達がそれに気付かないなんて可怪しいだろ。」
「それはそうよね。私の軽率な行動で迷惑を掛けたけど……、魔法の使用は無かったにせよ、気付かれても仕方ない規模の戦いだったわ。」
俺は、バックから小袋を取り出した。
「それでだ、彼奴等に貰ったこれがどうも怪しいと思って……ここに捨ててこうと思うがいいか?」
「私も同じことを考えていたの、勿論捨てていきましょう!!どうせ直ぐには使い道が無いし、今は結晶を持っている方がリスクよ。」
「だよな〜〜。」
俺は、近くの家への中へその小袋をポイッと投げ入れた。
「ふうぅぅぅ〜〜、これでヨシっと。」
「ところで、冬夜って意外と強かったのね。正直、スキルがスキルだから私が守らなくっちゃと思ってた。」
「まあ、あの程度なら大丈夫だよ……。」
「あの程度って数じゃ無かったけどね……。って、まあ良いわ。何か理由が有りそうだけど、冬夜が言いたくなったら教えて頂戴。」
俺達はその後も周りを警戒しつつ、遠回りをしながら拠点へ戻ったのであった。
・・・・・・・・
拠点へ戻ったあと、皆で報告会をして、その後1人で自室に戻った。
今はお風呂に入り、ベッドに腰を掛けている。
金安君からの報告だと、野菜の成長速度が上がったそうだ。
種を蒔いて数時間後には発芽したそうで、成長速度は数倍になっている。
ただ、この野菜の成長速度上昇の技を使い過ぎると、体の力が抜けて行くそうだ。
まだ、限界まで試していないが、多分魔力切れを起こしていると推測している。
効果の継続時間、対象の種類、指示の種類(甘くなれ、辛くなれ、大きくなれなど)など検証する事は多岐に渡る。
まだまだ、初日の段階なので、楽しみなであり期待が持てる能力だ。
一方、近藤君はまだ未知数であり、今の所目に見える成果は出ていない。
まあ、初日から成果が出るとは思って無いので全く問題ない。こっちは、「引き続きよろしく!」と声を掛けて置いた。
益子君は顔色が良くなって順調に回復しているそうで、「感謝している」との事。
まあ、急いでいないし、ゆっくりと体調を治して欲しい。体調が良くなったら、稽古や模擬戦にも参加してもらって、どの程度の実力なのか確認する事になっている。
そして、その3日後の夜中のこと。
カンカンと大きな音を立てて緊急事態を知らせる鐘が鳴り響いたのであった。
その鐘の音は、いつものモンスターの奇襲音と異なっていた……。
◇◆◇◆◇◆◇◆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます