第39話


『冬夜様。見知らぬ4人が拠点へ迫っております。多分あと5分もしないうちにマイスペース内に侵入すると思われます。』


 彼女は、キーシャ☆だ。普段より落ち着いており冷静沈着である。


「連絡ありがとう。とりあえずハンク、ジェイド、ガラムを食堂へ集合させてくれ。そして、アークへこの事を伝え、いつでも戦える様に警戒態勢を取ってくれ。勿論、囮かも知れないから周囲の警戒も怠るなよ。」


 取り敢えず、その場で5人ほど追加で召喚して、手分けして情報を伝達すると共に警戒に当たらせた。


『はい、分かりました。』


 俺は俺で直ぐに秋実さんへ報告すべく食堂へ向かった。

 案の定、秋実さんは食事の用意をしており、キッチンに立っていた。


「秋実さん、侵入者が4人迫っている。後数分でマイスペース内に侵入する模様。取り敢えず、俺とハンク、ジェイド、ガラムの4人で対処するつもりだ。残りの者には、警戒態勢を取って貰っている。秋実さんも屋上の監視小屋で待機して置いて欲しいんだけど良いかな?」


「分かったわ。目的が侵略かも知れないから気を付けてね。」


「うん、ハンクもいるし取り敢えず大丈夫だろう。無理はしないようにするよ。」


 ハンク達もちょうど食堂へ入ってきた。


「聞いていると思うが、侵入者だ!目的が分からないから、取り敢えずここにいる4人で迎え打つ。相手の出方次第だが、侵略が目的なら排除も致し方ない。」


『わかりました。先頭はジェイド、左右にハンクとガラムが付きますので、冬夜様はその後をお願いします。』


 そこへキーシャが現れた。


『冬夜様、侵入者が来ました。男3、女1で多少の怪我を追っております。取り敢えず、そろそろ拠点マンションの入り口に着きます。』


「わかった、ありがとう。キーシャも下がって良いよ。」




 俺達4人が拠点マンションの入り口に着くと、侵入者4人もちょうど着いた。


「敵意はありません。すみませんが、少しの間だけでも匿って頂けませんでしょうか。ここの近くで仲間たちと共同生活を送って居たのですが、仲間に1人体調が悪い者が現れて、中々治らなくて……どうかお願いします。」「「「お願いします。」」」


 侵入者は4人して深く頭を下げてきた。

 こっちはアークが口を開いた。


『正面から堂々とやってくるのは褒めてやるが、本当の目的は何だ?侵略か?暗殺か?』


「いや、そんな事全くありません。本当に仲間の体調が悪くてどうにかしたいだけです。」


『それを証明できる証拠はあるのか?』


 ジェイドも酷だ。そんな事を証明できる証拠なんかある訳ない…。まあ、俺への危険性をなるべく排除する事を第一に行動しているからしょうがないのだろう。


「………いや、それを証明する事は出来ないです。だったら、マンションに入れてくれとは言いません。軒下でも良いので居させてくれませんか?」


『それでも、何をするか分からない。』

『……………。』

『そうだな、そこの女は俺の部屋へ入れてやってもいいぞ。そしらた考えてやってもいいがな。ははは。』

『ガラム!』


 ハンクは相変わらず無口だ。

 だがガラムが横槍を入れた。これで相手へ揺さぶりをかけるのもありかもしれんな。

 そして、ジェイドがガラムを睨み付ける。


 彼女は少し身を隠すようにして小さくなった。


「……それは、勘弁して下さい。それ以外に何か条件はありませんか?何でもやると簡単な約束は出来ませんが、出来る限りのことはやります。どうか、軒下だけでも…暫くの間居させて下さい。」


 再び全員で頭を下げて来る。


『………だったら、………スキルを見せろ。』

『そうだな、危険なスキルが無いか確認させてもらう。どうだ出来るか……?』


 この世界でスキルは自分の実力を見せろと言っているも同等である。それを無条件で見せろと言ったのだ。果たして、彼等はどうでるか……。


 彼等が互いの顔を見合わせる。


「分かりました。俺とこいつのスキルは大した役に立つスキルじゃないのですが、それで良ければどうぞ。」


 彼等が全員自分のスキル画面を見せてくる。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る