第37話
誰もいなかった所から20代の男性の人が現れた。
俺は直様距離を取って、臨戦態勢に入った。
町中で人と会うことはたまにある。相手も食料を調達したりモンスターを倒したりしているのだろう。
ただし、基本的に少し挨拶をする程度だ。そして、互いに警戒しているので距離を取ったまま通り過ぎるのが一般的だ。
モンスターも危険だが、力を持った人間も何をするか分からないので危険だ。
今回は明らかに意図的に隠れていた。何が目的なのか分からない。
「ちょっと待って下さい。黙って観察していたのは謝りますが、私の方が最初にここに居て、あなた達が後から現れたんです。急な事だったので、危険な人かどうか判断するために隠れてしまいました。すみません。」
その男は、両手を上げてペラペラと状況を話初めた。
俺は、一旦臨戦態勢を解いた。
秋実さんを呼び寄せて、捕まえた鶏1羽をペット用キャリーバックへ入れた。
ただ、完全に警戒を解いた訳ではない。
「状況は分かりました。確かに俺が逆の立場でも隠れたでしょう。ただ、それだけでは、あなたが安全な人かどうかは判断出来ませんよ。……なんの目的でここへ?」
「それは、あなた達と同じかと思います。食料調達です。先程隠れて居た通り、私はそういった類のスキルを得ているので、食料調達班に所属してます。あなた方も何処かの組織の食料調達班じゃ無いんですか?」
「まあ、そんな所です。」
ちょっと歯切れの悪い回答をしてしまった。
「……因みに何処の所属か伺ってもいいですか??……やっぱり、この話は止めておきましょうか。何か詮索してしまいすみません。」
「いや、こちらこそすません。」
「そもそも、私が隠れてしまったので、こんな事になってしまってすみません。お詫びと言ってはなんですが、この辺りの状況や情報などを提供させて頂きますよ。」
「山中にいて、最近の状況を知れて居ないので、是非お願いします。」
「事情がおありのようですね。分かりました。そういえば、まだ名乗って無かったですね。私は、若松と言います。」
「ご丁寧にありがとうございます。私は海堂です。彼女は滋賀さんです。」
「海堂さんと滋賀さんですね。まず、何から話すかですが…。
私の所属するのは、ここから数キロ圏内の場所とだけ伝えて置きます。その他にもこの辺りには、10以上の組織があります。どこも中小規模でしょう。20日ほど前のモンスターの大量発生によって、多くの犠牲がこの辺りにも出ました。その前までは、数多くの組織が点在していたのですが、壊滅したり合併したりで今では10数の組織へ淘汰されました。」
「この辺りにも20日前にモンスターの大量発生がありましたか……俺達の所にもモンスターの大群が来ました。それにより多くの犠牲が出てます。」
「そうですか。こちらは新種でウルフ、オークが発見されてます!特にオークによる被害が甚大でした……。」
その後も色々と最近の状況を教えてくれた。
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