第36話
バイクに2ケツして至福の時を過ごしている。
何が至福かって、秋美さんの豊満な胸が俺の背中に押し付けられているからだ。
秋美さん自身もそれは分かっているのだろうが口には出さない。
目的地付近までゆっくり行って1時間30分くらいだろうか。移動中にもたびたびゴブリンやウルフに遭遇する。
オーガさえも倒す事が出来る今の俺にとっては、ゴブリンやウルフ程度相手では無い。
「思ったよりはゴブリン共もいるね。歩きだった時は周りを警戒しながら、且つ戦闘を回避していたから余り気にならなかったけど…。」
「やっぱり音には寄ってくるのね!こんな世界になって無ければ、冬夜さんと海岸線でも一緒にツーリングしたいわね……!」
「ツーリングはこらからも是非よろしくお願いします。今度、海岸線に行って見ようよ!」
「うん。」
バイクで移動中なので、2人共ちょっと大き目の声で会話する。
因みに目的地に着く間にも、地図アプリや看板などで◯◯牧場などの表示を見付けると立ち寄っていた。ただ、何処かしこも牧場や養鶏場などは、思ったより壊滅的な状況だった。
とある養鶏場でバイクを止めて歩く。
「何処も壊滅的な状況だね…。」
「そうだね。他の人も生活のために食料として家畜を食べたんじゃないかな…。」
「それに、モンスターにも襲われた可能性考えられるわね。必要以上に建物が壊されてるもん。」
「確かに……人間だったら、別に建物を壊す必要無いもんな。」
「ここも駄目かしらね……。」
『コケッ。』
「「っぇえ!!」」
俺と秋実さんが顔を合わせる。
今確かに鶏の声がした。
周りを見渡すと、庭には2羽ニワトリがいた。
「「いた〜〜〜〜!!」」
小声で2人の声が重なった。
秋実さんに鶏を見張っていて貰って、俺は急いでバイクへ戻りペット用キャリーバックを取りに戻った。
俺が秋実さんの所へ戻ってもまだ鶏は近くにいた。
「じゃあ、俺が鶏を捕まえて来るから、秋実さんはここで待機してて。」
「わかった。よろしくね!」
「任せてよ。」
俺は今持てる能力を最大限使って、全力で鶏を確保した。
まあ、余裕でした。
「うわっ。」
小声で驚くような声がした……。
辺りを見渡すが、人の姿は確認できない。
いや、何かちょっと違和感を感じるが……。
近くに落ちている小石や砂を手にとって、違和感を感じる方へ向かってそれを投げる。
「うわっ。ちょっと待って下さい。」
さっきまでそこに人の気配を感じなかったが、急に人が現れた感覚を覚えた。
そう、そこに人の姿が出てきたのだ。
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