第29話
夜…
皆が寝静まった中、洞窟の外へ1人出る。そこら中から虫たちの大演奏が聞こえてくる。
ふと空を見上げる。
「………綺麗だ。」
そこには無数の星が輝いていた。普段では見られない満点の星空だった。
すると、
「冬夜さん、こんな遅くにどうしたんですか?」
背後から声がした。
声のした方に振り返る事なく空を見上げたまま返事を返した。
「空を見て下さい……綺麗だなって。」
「うわぁ〜、本当ですね!私ここまでの星空見たこと無いです。」
「俺もです。星ってここまであるんですね。」
暫く2人で星空を眺めていた。
その2人の姿を遠くから暗視スコープで観察している姿があった………。
次の日、俺たちにとっては、第二の変革の日になった。魔法陣から発生するモンスターの種類が増えたのだった。
ゴブリン、ホブゴブリン以外に
俊敏性が高く集団行動をとるウルフ系。
知能が低く鈍感だがパワーが強いオーク系。
残忍で最高の力を誇るオーガ系。
飛行するモンスターや魔法を使うモンスターなど様々である。
ネット、テレビなどで各地の状況が報道される。何処かしかも散々な状況だった。
最も日本人にとって精神的なダメージを受けたのは、政府が新設した特災省の討伐部隊が敗北した事だ。
これにより、発電所が破壊され、各地で停電が広まった。
そして、停電地帯の拡散に伴い水道などのライフラインも次々と停止してしまう。
浄水場などの施設は全て電気を必要とする。そう、現代社会で電気が停止してしまうと絶望的なほど何も出来ない。一時的に化石燃料を使用して、発電機を稼働したとしても燃料が尽きれば停止してしまう。結局、電気が無いと何もできない。
政府はその事を把握しているので、何が何でも発電施設の防衛に動いたのだろう。
なお、原子力発電所は、世界が変革した第一段階で既に役目が終わった。
原子力発電所の核分裂および放射性物質が破壊兵器と認識されたのだろう。
突如として、核分裂が停止され放射能を帯びた物質が消失した。
こんな世界になって幸か不幸、福島県内の放射性物質の問題は解決している。
話を戻すと、全世界で発電所が襲撃にあい電気を発電する機能を失った。それに伴い、水・ガス・通信(テレビ、ネット)など全てのライフラインの活動が徐々に停止していった。
『冬夜殿、前方から獣系モンスターの大群が近づいております。その数20匹ほど。更に空からウィンドバードの姿が複数確認出来ます。その他、後方より多数のモンスターを確認………正直、今の3人ではこの拠点を死守することは困難です。』
『…………俺も、…………アークと同意見だ。』
秋実さんも隣でアークの話を聞いているが、不安そうだ。
「状況は分かった。こっちも総力戦を仕掛ける。新たな仲間達も参加させて何としてもこの拠点を死守する。」
そういって、俺は次々と配下を可能な枠いっぱいまで召喚するのだった。
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