第26話




 それからの日々は、本当にギスギスしていた。俺達と斉藤くん達もそうだが、リーダーを失った斉藤くん達の内部でも言い争いが絶えない状況だった。


 斉藤くんは犯人を捜索しているが、怪しい人物の特定には至らなかった。


 そして、当初の予定より随分と早くなってしまったが、俺達は此処を出る決断をした。




 斉藤くん達の部屋へ行く。


「こんにちは、ちょっと良いかい?」


「何ですか?こんなに朝早くから…。」


「大事な話があってね。」


「大事な話ですか?」


「うん。今はいろいろあって、拠点全体がギスギスしている…。」


「……そうですね。」


「ずっと考えたんだが、俺達は一度別々に生活した方が良いと思う。その話をしに来たんだ。」


「………賢治を殺した犯人が捕まって無いのに逃げるですか? それは、ハンクさん達が犯人だって事ですか?」


「いや、それは両方とも違うよ。犯人は内部の犯行で間違いないだろ。その目的は分からないが………俺が思うに俺達同士で争いをさたいんじゃ無いかって思うんだ。だったら、その策略にまんまと乗る訳には行かない。そのために距離を置く必要があると思う。」


「それは、、、俺だってハンクさんが犯人じゃないって思ってる。思っているが、気持ちがついていかないんだ。あの光景が……賢治の最後の姿を思い出すと…どうしてもハンクさんを………。」


「そうか、だったら尚更俺達は一度距離を置く方が良いな。今はどうにか抑えられているが、いつ些細な事で緊張の糸が切れるか分からない。」


「……………それで、俺達に此処を出て行けって言いたいんですか? 残念だけど、俺達は出て行かないですよ。冬夜さん達が最初だったかも知れないが、賢治が最後まで守っていた拠点だ。諦める訳にはいかない!」


 斉藤くんは力強い眼差しで俺を睨む。


 俺は、頭を左右に振る。


「…………いや、出て行くのは俺達だ。この拠点は君達が使ってくれ!食料は持って行くが、家財は置いて行くから必要であれば使ってくれ。俺達は別の場所に移動するよ。」


「……でしたら、遠慮なく使わせてもらいます。後で返してくれって行っても遅いですからね。」


「ああ、逃げ帰って来ないように努力するよ。」


「そうして下さい。」


「そっちもまだ橘くんの件が決着ついてないし、気をつけろよ。」


「分かってますよ。そっちも気をつけて下さい。」


 橘くんの死によって大きく歪んでしまった関係。


ただ、少しの時間だったが共に戦った戦友である。互いの健闘を祈って、またの再開を祈って俺達は分かれたのだった。



※※※※※※※※※


これにて第1章は完結となります。


次からは第2章となり、新天地での生活が始まります。


良ければ、引き続きお楽しみ下さい。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆


メインキャラクターのイメージ画像を乗っけました。

興味あれば、御覧ください。


↓【海道 冬夜】イメージ

https://kakuyomu.jp/my/news/16817330660384090676


↓【滋賀 秋実】イメージ

https://kakuyomu.jp/my/news/16817330660384146629

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