第23話



「じゃあ、今度は私から質問しますね。政府はどうなると思いますか?」


「…………潰れるでしょうね。まあ、このままゴブリンやホブゴブリンが相手なら大丈夫だと思います。しかし、既に別の種類のモンスターが発見されているなら、強力なモンスターが日本に出現しだしたら……。国民全体の安全は守れず。ライフラインが潰されて、避難所もパンク、収集がつかなくなって、崩壊って感じですかね。」


「私も同じ様な考えです。遅かれ早かれって感じでしょうね。まあ、軍事兵器(核兵器、ミサイル、爆弾類)が使えれば立て直す手立てはあったかも知れませんが。」


「そうなると、まず自分たちでどうにか出来る戦力・体制・組織を整える必要がありそうですね。そして、その後は周囲を巻き込みつつ安全な範囲を増やして行く。そんな拠点を各地に作って、その拠点間で交易を行って互いに発展させて……。」


「戦力に関して言えば、冬夜さんが居ますので私達は当面問題無いと思います。体制・組織は信頼できる仲間を増やす必要がありますね。冬夜さんが召喚した人達だけだと、何をやるにも範囲が限られてしまいます。拠点の外での活動は出来ませんので…。」


「仲間を増やすとするなら現状だと……橘くん達でしょうか?」


「「………………。」」


 2人して黙ってしまった。

 若くて活動的であるのだが、今の彼等は急いで組織を急拡大しすぎと考える。数は力だが、コントロールが効かない数の力は諸刃の剣だと思う。


「今のあのチームと一緒になるのは、危険だと俺は思ってます。焦って仲間を増やし過ぎてます。素行の悪そうな人達も集まっているようですし……。」


「私もそれは感じていました。最近、嫌な視線を受けますので……。その時は守って下さいね!」


「勿論ですよ。秋実さんの為ならいつだって駆けつけますよ。」


「ありがとうございます…………。」



「…………っと、話を戻すと、仲間の件は保留ですね。ただ、橘くん達と仲間になる可能性が無いならば、拠点が一緒なのは問題ですね。 最も恐ろしいのはモンスターではなく人間ですから……。」


「確かにそうですね。拠点を分けるとなると手は2つですね。相手に出ていってもらうか、こっちが出ていくか……。」


「その件は既に考えていました。最終的にはここを出ていこうと思ってます。既に候補地はいくつか探してありますので、意見を聞かせて下さい。」


「分かりました。今聞いてもいいですか?」


「良いですよ。この2つです。」


 俺は携帯のマップアプリを立ち上げて秋実さんに2箇所の候補地を見せた。


「因みにこの候補地を選んだ理由は?」


「理由は、①水場の確保、②農地の確保、自給自足の確立、③競合の排除です。建造物が無いので住居の問題が出ますが、それは俺のスキルで補えるかと考えてます。」


「う〜〜〜〜〜〜〜ん。」


 秋実さんは真剣な眼差しで色々と考え込んでいる。


「冬夜さん質問いいですか?」


「はい、どうぞ。」


「水場の確保は、山水を考えているのですよね?」


「そうですね。この川を水源にと考えてます。」


「だったらこっちのポイントが良いと思います。確か湧き水が出るポイントがあったので、水源の多重化と湧き水の方が美味しいはずです! 農地の確保は、スペース的な話ですか?」


「農地の確保は、スペースの事しか考えてないです。何か気になる事がありますか?」


「スペースはどちらも問題無いと思います。強いて言うなら、こっちのポイントの方が斜面が少ないと思います。余り関係無いかもしれませんが、平地が多い方が良いかと思っただけです。そんな所でしょうか! 基本的にどちらも良いポイントだと思いますし、冬夜さんが決めた所なら私は喜んで一緒についていきます。」


 その満面の笑みはズルい。


「……ありがとうございます。じゃあ、最終的には拠点を変える事を念頭によろしくお願いします。」


「わかりました。」



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