第19話
数日前の最初の難民受け入れの出来事。
本格的に橘くん達の実力を確認出来るほどの大きな戦いがあった。
昼間に俺はちょうど拠点に戻って食事を取っていた。
見張りは橘くん達が実施していた。そんな時。
慌しい物音と共にゴブリンの集団が拠点へ向かって押し寄せて来た。その数10匹以上。その先頭には、2人の男女が居た。
「きゃー助けてーー!」
『『『ギィギィーーー!』』』
2人は迷いなく此処の拠点を目指している様だった。その2人が拠点へ着くと向かい入れる様に防衛用の機材の一角が退かされる。
「そこの2人こっちだ!」
「ありがとう。助かった。」「ありがとうございます。」
「そんな事より早く!」
無事に2人を拠点へ引き入れられたが、その隙にゴブリン達も拠点へ侵入してくる。
アパートの屋上から橘くんの仲間が弓で狙撃していたが、ゴブリンの数が全然減らない。
防衛用の機材の再設定にもたついて、結局次々とゴブリンが敷地内へ侵入している。
橘くん達は必死になってゴブリン達と戦っている。
橘くんは戦士、斉藤くんは槍士で前衛である。田町さんは魔法使いで後衛。3人のバランスは良い様だ。
橘くんが最前線でゴブリンの攻撃を受けて、斉藤くんが隙を突いて槍で致命傷を与える。
時折り田町さんが放つ魔法で複数人を攻撃する。魔法は牽制やトドメの両方を担っていた。
着実にゴブリンを1匹づつ仕留めていく。
ただし、ゴブリンの数が思いのほか多く半分を倒した辺りで、橘くん達のフォーメーションが崩れた。
その辺りで、俺達は彼等の実力を測るのを止めて助けに入った。
アークの放つ弓矢が、田町さんに迫るゴブリンの頭を貫く。
また、ハンクが2階の廊下から1階へ飛び降りると同時にゴブリンを真っ二つにする。そして近くにいるゴブリンの首を剣の一振りで切り落とす。
俺も1階に降りて、ゴブリンを1匹やっつけた!
「「つ、強い……。」」
橘くんと斉藤くんから出た本音だ。
『……お前達が、………ゴブリンの注意を引いていたので………、簡単に倒せた。』
次の瞬間、ハンクの口調が変わった。
『雑魚はここまで、此処からが本番だ!』
そして、ハンクがゴブリン達の侵入して来た方を見ると………。
ドガァーーーーン。
防衛用の機材が、こちら側に向かって吹き飛んで来た。そして、ホブゴブリンがこちらを向いて歩いて来た。
『グォーーーーーーーーン!』
その威圧感に橘くん達は一歩後退りをする。田町さんに至っては、腰を抜かしていた。
「あんなのに勝てっこ無い………。」
震える声で橘くんが呟いた。
俺は橘くんに近づいて、肩に手を置いてこう言ってやった。
「大丈夫。ハンクを信じろ!」
「……はい。」
◇◆◇◆◇◆◇◆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます