第18話
「ただし、俺達とは不干渉でお願いします。これまでのアパート生活だったように…。詳しい理由は言えませんが、スキル関係で特殊な事情があります。」
「え!? 1箇所の拠点に2つの組織があるのは、この先上手く行かないですよ。スキルが理由なら、情報を共有して皆で解決したらどうですか? 皆で考えれば何か解決策が出るかも知れません!」
「……ありがとう。話は嬉しいのですが、スキルの情報は……共有出来ないかな。」
「そんな事言わずに一度共有して見たらどうですか?何か解決するかも知れません。」「そうだ話せば何か変わるかも知れないぜ!」
「………こんな世界になったんだ、あなたならスキルがどれ程重要なのは分かるでしょ? そうゆうことです。」
「……………。」
「ねえ賢治、何とか言ってよ!」
「そうだ賢治、何とか言えよ。」
「………スキルは重要ですね。分かりました、これ以上スキルの事はお聞きしません。その代わり、協力体制を取るって言うのはどうですか?」
「協力体制?」
「はい、海堂さん達と不干渉となると、俺達がここに戻ってくる意味が薄れます。そこで、協力体制です。海堂さんのチームとこっちのチームで襲撃に対して協力するんです。条件は追々詰めるとして、そういった協力体制を取るのはどうですか?」
ここまで黙って聞いている秋実さんの方を見る。
黙って頷いてくれた。
そう、これが本当の落とし所と考えていた。ありえない『不干渉』との条件を最初に提示して、譲歩した形で『別チーム』とする新の目的を通したのだ。
「…………………分かりました。協力体制は取りましょう。」
「良かったです。よろしくお願いします。」「やったな賢治。」「よかった。やっと避難所を抜けられるのね。」「(何とか拠点は確保できそうだ。とりあえず、第一段階は完了だな。)」
「そうだ、俺達の仲間を紹介しますよ。」
部屋で待機していたハンク達がやって来て、彼等にハンク達を紹介した。
橘くん達は、ハンク達を見て若干ビビっていたようだった。
「ハンク達は俺の海外の友人です。まだ他にも友人が居るのですが、今は出払っていて追々紹介します。」
「「「よろしくお願いします。」」」
部屋に戻って一息付く。
まあ、学生達とはまずまずの交渉だったと思う。
あと俺の隣の部屋は数ヶ月前から空き部屋になっていたらしく、この部屋を俺達で使って良い事になった。
ハンク達を常に召喚している訳では無いので生活面では問題無いが、使える部屋が多くなるのは有り難い事だった。
橘くん達のチームは、7人増員されて計10人となった。アパートに隠れていた2人もこのチームに参加している。
見た感じ、皆学生といった感じだ。
リーダーは橘くんが担っている。
・・・・・・
橘くん達との共同拠点生活が始まって既に1週間ほどが経過したが、思いのほか気苦労は無かった。
1つは、協力体制の取決めを秋美さんとジェイドがやってくれた事だ。
直接人と接しなくて良いのは正直助かった。精神的に大分楽だった。
もう1つは、橘くん達が必要以上に俺に対して接触して来なかった事だ。
多分、俺との接触を控える様にと秋美さんからが彼等へ忠告したのだろう!こう言った、周りに気を使える人は助かる。
ただ、良い事ばかりでは無い。悪い事もある。
それは、当初10人からスタートしたメンバーが現在18人まで増えた事だ。1週間で倍近くだ。正直、ここまで急激に増えるとは思わなかった。
1つは、避難所からの追加参入。
もう1つは、避難民の受け入れだ。
住まいは何とかなっているが、食料が問題となっている様だ。当初の協力体制の取決めに食料の供給は含まれていない。その為、何も言って来ないが、人数が多いだけに食料問題は大変だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
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