第17話




 これはどうゆうことだ?

 俺が偵察から帰ってくると、アパートの敷地に秋実さん以外の人が数人いる。


「っあ、冬夜さん!良かった帰ってきてくれたんですね。」


 一斉に皆の視線が俺に集中する。


「これはどう言う事ですか?」


「実は、斯々然々かくかくしかじかでして……。」



 簡単に言うと、と言う事だった。



 ことの発端は、避難していたアパートの住人3人が纏まって荷物を取りに帰って来た事から始まった。

 そして、この機会に秋実さん達も避難所へ来ないかと誘いを受けた。

 更にこのアパートの他の部屋(俺を除く2階・3階の9部屋)にも声を掛け、2人ほど追加されている。


 そのまま、5人で避難所へ行ってくれれば良かったのだが………。


 アパートの住民2人が、俺達の昨晩の戦闘を見ていたらしく、ここが安全だと主張して残る選択をしたのだ。

 そして、その理由を聞いて避難していた3人もこのアパートに戻って来るとの決断をしたようだ。更に避難先の仲間も連れて来たいと言っている。


 どんどんと人が増える事になる状況だ……。



 アパートの所有権が俺にある訳ではない。

 こんな世の中になったので『このアパートは俺の拠点だ!』といって、実力行使で皆を追い出すことも出来なくは無いだろうが……。その選択肢は無しだな。


 だったら、共同の拠点とするか?

 そんな事をしたら、色々な責任を背負うことになるからNOだ。


 それに俺が耐えられるか心配だ。

 とにかく俺の最終目的は、ゆっくりインドア生活を送ることだ。


 落とし所としは、って辺りかな。

 後は、も考えておく必要がありそうだな……。



 俺は落とし所の話を秋実さんに説明した。


「う〜〜〜ん。追い返しちゃうのは駄目ですか?」


 サラッと凄い事を言う。流石エリート会社員。ノーと言える日本人って素晴らしいよね。


「でも、それだと万が一、政府が体制を立て直して民主主義世界になったときに………………。やはり、冬夜さんの意見に賛同します。ただ、何か嫌な事があったら、私には遠慮しないで言って下さいね。」


「ありがとうございます。俺が頼れる秋実さんしか居ません。これからもよろしくお願いします。」


「こちらこそよろしくお願いします。」




 そして、俺は彼等の元へ向かった。

 見た目は、5人とも大学生だろう。


「はじめまして? 俺もここのアパートの住人で201号室の海堂です。」


「201って、あのですか!」


 一番真面目そうな男が返答して来た。


「ウーバーの人?」


「いや〜〜〜、ちょっと言いにくいのですが、201号室の人の姿を見たこと無いって大学で話していたんです。それで、いつもウーバーの出前が来ているので、俺達の中ではって呼んでました。 何かすみません。」


「あははは……。まあ、色々あって確かに出前は多かったですね(本当は毎日3食出前だが)。」


「何か話が脱線してすみません。僕は204の橘です。こっちが205の斎藤で、彼女が303の田町さんです。あとは〜〜。」


 ここの3人が避難していた組の3人だ。


「僕は305号室の佐久間です。彼が…。」

「302号室の池田です。よろしくお願いします。」


 後の2人がずっと隠れていた2人だ。


「こういったメンバーなのですが、僕達3人もこのアパートへ戻って来て一緒に戦いたいと思うのですが、どうですか? 正確には3人と言うか、もっと増やせると思います。 今の避難所は正直………良い雰囲気では無いんです。だから、何人かはこれると思うので、誘ってここの戦力を強化できると思います!」


 彼は人が増える事が、戦力増強で良いことを思っているかも知れないが、俺にとってはメリットになっていない。逆にデメリットである。


「状況はさっき彼女秋実さんから聞いたので理解しました。結論から言うと、。そもそも、アパートは俺の所有物でもないですし、俺が駄目と言る立場には無いです。それぞれ自分の部屋なので、それをどうこう言うつもりはありません。」


「やったな。」「ああ、だったら避難所の奴らも誘って来ようぜ!」「うん、そうしましょう!きっと、来てくれるわよ。」「そうだな。」


 3人で話が盛り上がっているようだ。そこへ俺は言葉を続ける。


「ただし、・・・」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆

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