第14話
1匹のホブゴブリンに手を焼いているのに更に追加が迫って来ている。
「ハンク、俺に考えがある。今はソイツを倒すことだけ考えるんだ!」
『了解だ。』
俺はハンクの後ろへ近づいて行く。すると、ホブゴブリンは俺へ向けて棍棒を振り下ろした。それをまたハンクが受け止めて、鍔迫り合いの状況になる。
俺は、ハンクとホブゴブリンの硬直状態の中、素早くハンクの横を通り過ぎてホブゴブリンの顔面目掛けて突きを放つ。
『グゴォォォーーーーーーーーーーーー!!』
上手く目にヒットしてホブゴブリンが大声を上げ目を押さえ大きな隙きが生じる。
ハンクはその隙きを逃す事無くホブゴブリンの首を刎ねた。
「ナイスだ!後、1匹いるがイケそうか?」
『…………君主は、ここを離脱してくれ。 俺とアークで時間を稼ぐ……。』
判断に迷う…………どうする?
秋実さんが1階へ降りて来て、ハンクにヒールを掛ける。徐々にだが傷が塞がっていく。
ただ、体力自体は回復する訳では無いようだ。既に数十匹のゴブリンの大群を葬りさり、更に強敵のホブゴブリンとも戦ったハンクは、相当疲労している。
「………………どうする??」
そこへ、2匹目のホブゴブリンが到着する。
周囲の様子を伺いつつ、こちらへ睨みを効かせて佇んている。
…………少し様子が可怪しい。
直様襲ってきても良さそうだが、ホブゴブリンはゴブリンの上位種との事もあって、多少は知恵が付いているようだ。
ホブゴブリンが首を落とされて絶命しており、その周りには無数のゴブリンの骸と結晶が落ちている。
更にハンクは☆2つでホブゴブリンからしても明らかな強者だ。
そのハンクが、闘志を漲らせ更に眼光鋭く新たに現れたホブゴブリンを睨みつけている。
「ハンク、そのままホブゴブリンを睨み付けながら一歩ホブゴブリンの方へ歩みを進めろ。決してコチラが不利そうな素振りは見せるな。逆に余裕を見せる姿をしろ。」
小声でハンクへ指示を出す。
『…………了解だ。』
ハンクがホブゴブリンへ歩みを寄せると、ホブゴブリンは一歩後退りをした。
そして、ハンクが剣を肩に担ぐと、ホブゴブリンは状況不利と判断したのか踵を返した。
「……どうにかなったな。」
一気にどっと疲れが出てきた……。
「っあ!!」
更に秋実さんから声が上がった!俺、ハンク、アークに緊張が走る。
「お味噌汁を火にかけたままでした!緊急事態で消すのを忘れてしまいました。すみません。」
「ふぅ〜。そんなことですが、大丈夫です。また、新たに作れば良いじゃないですか! ホブゴブリンが戻って来たのかと思い冷っとしました。」
「すみません、変な声出しちゃって。でも、そんなことってなんですか!食事は重要ですよ。 まあ、また作れば良いんですがね。」
「じゃあ、夕食の方は秋実さんにお願いします。俺達は周辺の安全確認と状況確認をしてから部屋に戻ります。」
「はい。夕食は任されました!」
秋実さんは、小走りで部屋へ戻って行った。
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