第13話
『ゴオォォーーーーーア!』
大声と共にアパートの1階の部屋のドアが内側から外側へ向かって吹き飛んだ。
大きな声がした方を注目すると、ゴブリンより2回りほど大きなモンスターが1階の部屋から出てきた。
口の周りから腹部にかけて真っ赤な血が付いている。戦闘に集中していて気付かなかったが、隠れて住んでいた1階の住民を襲っていた可能性があるな……。
こいつが、ゴブリン達を引き連れてやって来て張本人だろう。
『君主……。アイツはホブゴブリン……強敵だ。』
ハンクの声色にも少し緊張の色を感じた。
「お前とアイツではどっちが強い?」
『万全の状態なら確実に俺だ。ただ、体力を消耗した今の状態なら良い勝負かもしれない。』
「アーク!そのまま2階からハンクのフォローにまわれ。俺は1階に降りてフォローに入る。」
『冬夜殿、承知しました。』
『君主は、離れていろ。………………もし、俺に万が一の事があれば、直ぐにこの場を逃げろ。』
俺達が体制を整える前にホブゴブリンが先手を取って動き出す。
転がっているドアを持ち上げて、階段の踊り場にいる俺へ目掛けてドアを投げつけてきた。
ドドーン。
間一髪で階段から飛び降りて地面へ着地する。
そして、俺目掛けてホブゴブリンは走り出した。その手にはゴブリンが持っていた棍棒より更に更に大きい棍棒が握られている。
アークが牽制で素早く二射の弓矢を放つ。一射は防がれるが、もう一射は棍棒を持つ腕に刺さる。ホブゴブリンは少し顔を歪めたが、走る勢いを落とすことなく俺に迫る。
しかし、それを黙って見ているハンクではない。
ホブゴブリンが走り出すと同時くらいに動き出し、ホブゴブリンの攻撃を防ぐように俺の前に立ち塞がった。
『君主をそう簡単には
ハンクはホブゴブリンの棍棒へ自分の剣を叩きつける。鍔迫り合いとなるが、ハンクが押している。
そのままホブゴブリンを弾き飛ばして数度剣を振るう。どんどんとホブゴブリンの体に傷が出来ていく。ただ、ホブゴブリンは寸前でハンクの攻撃を受け止め決定打を避けている。
その時だった。
2階で周辺の状況を探っていた秋実さんから急報が入る。
「近くにもう1匹のホブゴブリンがいます!!こっちの戦闘音を聞きつけて近づいて来ています。」
更なる危機が訪れるのだった。
1匹のホブゴブリンに手を焼いているのに更に追加が迫って来ている。どうする?
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