第7話 ムチムチ亭での出来事

看板には【武器販売ムチムチ亭】と書かれている。


ムチムチ亭か。

名前が気になる。

風俗の店みたいだぜ。


「嶋野さん、エロいこと考えてたでしょ?」


と、愛菜。


「失礼なこと言わないでくれ」


俺は否定した。


「どうしたんだい?」


レオンが不思議そうにしている。


「なんでもないよ」


俺は誤魔化した。

なんか股間の辺りがうずいている。


変な病気だろうか? 俺達は店内に入った。


「入るぞ」


俺達は入った。

店内は広く、多くの商品が並べられている。


「いらっしゃいま……せぇえ!?」


店員が素っ頓狂な声を上げる。


「何事だい?」


奥から出て来たのは、身長2mはある筋肉質の男だ。

店員が挨拶してくる。


「今日はどんな御用件でしょう?」

「武器を買いたいんだが」


俺は言った。


「それでは、お客様は戦士でよろしいでしょうか?」

「違う。俺達は勇者なんだ」

「勇者様ですか?……失礼しました」

「わかってくれればいい」

「勇者様方のお相手は私めにお任せいただければと思います」

「頼む」

「承知致しました」

「それと、この人の装備を見繕って欲しい」


愛奈を紹介する。


「そちらの方は?」

「彼女は剣士だ」

「そうですか。それなら、この剣などいかがでしょう?」


と、一本の剣を持って来た。


「これは?」

「聖剣エクスカリバーです」


もう聖剣登場!


さすが異世界ファンタジー! テンション上がるぜ!


「これをください」


即決する。


「おい! 勝手に決めるなよ!」


鮫島が抗議の声を上げた。


「いいじゃないか。俺達に必要な物だ」

「だけどなぁ……」

「それに、お金ならあるぞ」


俺はインベントリから金貨の入った袋を取り出した。


「それは?」

「そんな大金をどうやって手に入れたんだ?」


「内緒だよ」

「まあ、金があるなら良いけどよ」


納得してくれたようだ。

よし、これで問題なし。


「それじゃあ、次は防具屋に行くか」

「ああ」


俺達は防具屋に向かった。


「ここか?」


目の前にある建物は、大きな建物だった。

看板に【防具販売マッスルマッスル亭】と書かれている。……マッスル?


「ああ、ここで間違いないと思うぞ」


俺は答えた。

中に入る。


「いらっしゃいませー!」


出迎えてくれたのは、プロレスラーみたいな体格の男だ。


「本日は何をお求めでしょうか?」


俺は鮫島と愛奈を紹介した。


「彼女達の装備を用意して欲しい」


「かしこまりました! 当店の自慢のスタッフを紹介します! こちらへどうぞ!」


案内された先に居たのは……。


「いらっしゃい! 可愛い子ちゃん達ね! 私の好みよ! グヘヘ」


気持ち悪い笑みを浮かべる女だった。


「あら? 何かしら? その目は? 文句でもあるのかしら?」


怖いんですけど。


「いえ、何でもありません」


俺は目を逸らす。

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