第14話 別れの日
皆でわんわん泣いていた。
ライさんは次の境地へと行ったのだ。
僕はそう思いたい。
トメさんと他の村の人はしばらく残ると言っていた。
青年は皆をあとに日記の続きが気になった。
最後まで読みきろうと思った、それだけでおじいちゃんも満足すると思う。
辺りはすっかり暗く22時を越えていた。
青年「今日はオールだなー、なんかそんな日な気がする」
急いでおじいちゃんの家に帰った。
道中で軽くご飯を食べた。
家に着くと台所の電気をつけてテーブルの上に置きっぱなしの日記が置いてあった。
青年は日記を持ち読み始めた。
おじいちゃんの日記
しばらくこの村で人生を過ごした。
色々あったがとてもいい村だった。
妻も出来て第2の人生だと思い幸せだった。
でもどこか心に穴があり自暴自棄になることもしばしばあった。
私は女性にモテるからなー、浮気も多々あり妻を泣かすこともあった。
ギャンブルだってしたし悪い奴と殴りあいの喧嘩もした。
やりたいことはやり尽くしたのが良いことだった。
まぁ心残りは息子に勘当されたことだがな。
でも孫が時々そばにいてくれて本当に嬉しかった。
たった一人の孫、愛する孫。それだけだった。
ふと思い出したんだ、愛する婚約者のこと。
大事にとってあった焼けた花びらと焼けた指輪を取り出して思い出した。
心の穴の正体がわかった。
本当に好きな人はお前だけなんだって涙を流しまくった。
なにを言っても戻って来ない、だから旅に出たんだ。
愛する人がいた場所に。
また東京に足を運んだ。
でもすっかり変わっててな当時の面影はなかった。
でも唯一橋とか川は残っていた。
学校の跡地も見つけられた。
地元の人に聞いて廻ったよ。
思い出と共に鮮明に記憶の片隅にあった。
愛する人との思い出、よく学校で悪さした時に隠れる場所を探してくれたなー、一緒に隠れることもあった。
お気に入りの秘密基地や駄菓子をよく買いにいった。
怪しいおじさんから物を買ったりお芝居みたり本当に一緒にいて心地がよかった。
身体が軽くなったのを感じた。
ルンルンとスキップを踏めた、当時のように。
見覚えのある橋を渡り川を遊び当時を思い出していった。
無我夢中で走り回った、子供のように。まるで愛する人と同じように走っていた。
隣に暖かい感じがあった、無意識に愛する人の名前を叫んだ。
しばらく走り疲れて休んだ。
すると手を差し伸べられた。
手を握って顔を見上げると太陽が眩しくはっきり見えなかった。
引っ張られるようについていった。
しばらく握っていた手が無くなっていた。
歩き続けるとそこには新しいアパートがあった。
脇にユリの花が大きく咲いていた。
戦火の花びら @sin0066
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