第13話 涙
青年は涙を流しながら読むのを一旦やめた。
僕になにかできることはないかと考えた。
するとトントンとノックする音が聞こえた。
扉をあけると凄い形相のトメさんだった。
トメ「大変だ!ライの様態が悪いんだよ!!今すぐいくよ!」
トメさんに引っ張られながら病院に足を運んだ。
病室に勢いよく入るトメさんと他の村の人たち。
青年も後に続いて、青年「ライさん!!」と叫んだ。
そこには看護士さんがいて手術中とのことだった。
ガンが転移していたのだ。
皆は手術中の待ち合いで寄り添いながら待っていた。
村の人「なんとかならねーかー」
トメ「バカいってんじゃないよ、逝くときは逝くのさ。覚悟しときなさいよ」
村の人「でも助かったら腹一杯食わせてやりてーな」
お互いに励まし合った。
青年「昨日はちょっと咳き込んでたし無理をさせ過ぎたんじゃ...」
トメ「バカね、聞けるときに聞いて良かったじゃないか。それだけでも幸運だよ」
青年「僕のために、本当にありがとうございます。皆さん」
村の人「いいって気にすんなよ、また遊びにこいよ~」
トメ「そうよ、いつでもウェルカムなんだから!でもそれまで生きてるかは別の話だけどね!」
トメさんの冗談で途端に笑顔が見れた。
時間は19時を過ぎていた。おおよそ5時間くらいの手術だった。
病室で横たわっていたライさんは顔色が悪かった。
ガンは摘出成功だが、かなり衰弱しきっていて今日が山場とのことだった。
心拍機のピッピッという音が静かな部屋に響き渡る。
皆が見守っていた。
トメ「がんばれ、がんばれ、また楽しく話そうや」
そして突然ライさんが、
「みっちゃん迎えにきてくれたの?ありがとう」と言ってピーという機械音が鳴り響いた。
トメさんがわんわん泣いた。
それにつられて皆も泣いた。
不思議と青年だけが泣かなかった。むしろ心地よくおじいちゃんが迎えにきてくれたのだと安心した。
これが本来あるべき人の姿と言いたいけどおじいちゃんの日記からは想像以上を絶する人の死に方だ。
おじいちゃんから大きなことを学んだ気がする。
優しさの大切さ、愛する人、思いやり、全てにおいてこの日記に詰まっていた。
人の最後は自分では決められない、それでも美しく居なくなりたいのが人間なのだ。
他の動物達もそうであって平等なのだ。
生きる意味を考えされられた。
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