第10話 お見舞い
青年率いる一向は病院に辿り着いた。
村から車で30分ほど離れた病院だ。
小さい病院で周りはちょっとの商店街とスーパーがあった。
トメ「えーっとライの病室はっと。あ、看護師さん。すいませんが斎藤ライのお部屋はどちらかね」
トメさんは看護師さんに聞いて少し世間話をしてライさんの部屋を聞いた。
地元のおじちゃん「わしはエレベータでいくぞ」
トメ「なに言ってんだい!階段でいくよ!」
トメは強くおじちゃんを引っ張った。
トメ「健康のために足腰鍛えなきゃよ」
地元のおじちゃん「へいへい」
青年「あはは」
しばらく階段を上がり目的の階についた。
トメさんを先頭に後ろについていった。
そして405号室の部屋に斎藤ライと書かれていたカードがある。
トメは勢いよく扉を開け挨拶をした。
周りのご老人はびっくりして入れ歯が飛び出した。
同室のおじさん「うぐっ、なぁにごとじゃあっ!」
トメ「あらあら、すいませんね。大声だして。おほほほほ」
ライ「ごほっ、あらトメじゃない。皆さんご迷惑おかけしました」
トメ「大丈夫かい?こっくり逝くんじゃないよ!」
ライ「不吉なこと言わないで頂戴!それでそこの青年さんはどなた?」
トメ「あらら、このイケメン青年はなんとみっちゃんのお孫さんよ!」
ライ「なんと!!会いたかったわ。亡くなったって聞いたもんでどうしようかと」
トメ「それでね、おじいちゃんのこと深く知りたいらしくて色々聞かせてあげて頂戴!!それじゃあ、あたしは旨いお菓子でも食ってるわ!」
ライ「ごほっ、ほんと元気ね。じゃあそこのイケメンさん、お話しましょう」
青年「はい!お願いします!」
ライ「それでみっちゃんの話だけど話すと長くなるの、昔戦争中に凄いお世話になってね。戦後の後も日本人じゃないのに凄くお世話になったんだよ。住むところも与えてくれて、娘達も大きく育って、ごほごほ」
青年「そうだったんですね、僕のおじいちゃんは凄いなぁ」
ライ「一つ心残りがあるとしたら...まぁ過去の話よね。そうそう、私に日本語を一生懸命に教えてくれたんだから」
青年「だから日本語上手いんですね~、尊敬するなー」
ライ「でも、一つ欠点があるとしたら女癖があることね。それもあの時からかも」
青年「その、なにがあったんですか?」
ライ「詳しくはみっちゃんが残した日記に書いてあるんじゃないかしら。私も涙もろいからその話は泣いちゃうかも」
青年「分かりました、おじいちゃんの家に戻ったらまた読みます」
ライ「そうね、その方があの人も安心して逝けるわ」
辺りはすっかり夕暮れ時で一向はライに挨拶をして家に帰った。
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