第10話 施設にて①

しばらく歩いていると、目的の施設に到着した。

この施設は、卓球やバトミントン、フットサルなどのスポーツが手軽にできる施設であるが、なぜかロデオマシーンもある。

なぜあるかと言われれば謎であるが、テンションの上がった人がやるようである。

「早速、何して遊ぶ?」

凛は、3人に問いかける。

「じゃあ、最初は卓球でどう?」

そう翔は提案した。

「じゃあ、男女混合がいいから、お互いグーパーして。」

そう凛は強引に男子2人に提案し、勉とグーパーをした。

「翔、よろしくね。」

最初のペアは早苗であった。

「よろしくお願いします。」

「私に対しては、もう少し砕けていいのよ。」

「あっ、わかりました。」

「もう一回。」

「うん、わかった。」

早苗は少し、強引に翔に答えさせた。

「じゃあ、始めようか。」

そんなやりとりをしていると、反対側に居た凛から声が掛かった。

「うん。始めよう。」

そして始まった、卓球。ガチガチのルールは決めずに、球が取れると思ったら取ることになった。

最初は凛からボールが始まる。

「ふふん。翔が取れない球打つんだから。」

凛はノリノリにボールを放つ。

しかし、男子である翔は難なく球を返し、勉の方に返す。

勉は難なく球を返し、早苗の方に打つ。

そんなやりとりが何回か続いた時、凛が打った球が、真ん中に打たれる。

『これなら僕が打とう。』

そう思って球を打とうとラケットを近づけると、早苗も打とうと思ったのかラケットが左から出て来てしまい、ラケット同士がぶつかる。

そのせいで変に当たった球ががあらぬ方向に行ってしまった。

「ごめん」

「こちらこそ、打つって言えばよかったわ。」

「ううん、ラケットぶつかったけど、手に当たらなかった?」

「いいえ当たってないわ。そちらこそ大丈夫?」

「うん大丈夫だよ。今度から、どちらも取れそうなら取る時に言うね。」

「わかったわ。私もそうするから、楽しくしましょう。」

そんなやり取りをしている姿を凛は見てると

『初対面だけど、二人とも仲良くしている。よかった。』

『でも、何だろう、二人が仲良くしているのが少し、少し、胸がきゅーとするんだよね。』

凛は普段感じた事ない感覚を感じながら卓球を続けた。




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