第7話 再会前 凛視点

『翔くん。今はどんな姿なんだろう。』

合格の連絡を翔から受けた時に不意に今の姿を想像してしまった。

『昔も綺麗な顔立ちだったから今もそうなのかなぁ。』

幼少期、一緒に遊んだ時は私と同じような中性的な顔立ちで最初あった時は同性と思ってしまった。ただ、私がヤンチャだったのもあって、かけっこしたり、泥遊びをしたり、木に登ったりと今思えば男友達のような感じであった。

『自分から送っておいて今更なんだか会うの恥ずかしいなぁ。』

そんな事を思っていると、

「久しぶりに会うっていうのに、よくそんな軽いノリで送れるよね。」

そう言ったのは春から一緒の高校に進学する伊織早苗であった。

早苗とは中学から知り合い、意気投合して昼食、放課後と常に一緒にいる仲である。容姿は165㎝の痩せ型、黒髪を背中くらいまで伸ばし、ちょっとお淑やかに見えるが、制服は着崩しており、出る所は出ていて、引く所は引いている。性格はサバサバしているので、一緒にいても気が楽なため、何かと相談相手にもなり、翔のことについてもよく話している。

ちなみに凛は早苗と同じくらいの身長で髪は肩まで伸ばし、地毛が茶色いのでよく遊んでいると思われるが至って真面目。早苗同様、出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいる。2人はとても仲がよく中学校でも目立つ存在であった。ただ、2人とも異性には特に興味はなく、あくまで友達というスタンスだったため告白はされた事はなく、することも無かった。そのおかげで同性からの嫉妬や妬みなどもなく楽しく学校生活を過ごし、2人で同じ高校に進学することになった。

2人が女子校に進学した理由は『1回くらい同性だけの学校で過ごしたい。』といいう理由であり、進学実績があり、自宅から遠くないという理由で決めていた。

「まぁ、向こうも2人みたいだし、出たとこ勝負じゃない?」

「ならいいけど。ちゃんと会う前に準備しないとだよ。」

「えっ、なんで?」

「???」

「???」

「翔くん事、気になっているんじゃないの?」

「えっ、そんなこと言ったっけ?」

「えっ、違うの?普段話している様子や仕草で学校の男友達とは違ったけど。」

「そうなの?翔くんは幼少期に仲良くなったから気になるというよりは懐かしさでそういう表情になっているんじゃ無いの?」

以前は手紙でのやりとりであったが、不意にチャットアプリでも良くない?と思った凛は手紙にIDを記し、その後はチャットアプリを通してたまに翔と連絡をとっていた。ただ、気になるというよりは近況報告のようなもので、異性とは意識しているが、恋愛したいとは特には思っていなかった。

「そう。でも、向こうも男子だし、整えるくらいはしたほうがいいと思う。もう私たち高校生なんだからそう言うのは自分じゃ思ってなくても周りが囃し立てるんだから。」

「ふーん。そうなの?あんまり周りの事は気にはなるけど、そこまで恋愛脳じゃ無いからなぁ。」

「悪い印象よりはいい印象だよ。」

「そうだね。じゃあ、早くお昼済ませて、準備しなきゃだね。」

二人も、足早にお昼を食べて、化粧室に向かう。ちなみに2組とも食べていた場所は一緒であったが席が離れていた事と、お互いの認識が無かったのでその場で偶然という事はなかった。

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