第3話 何気ない朝
『ペロペロペロペロ』
朝、寝ぼけている翔は、妙に生暖かい感覚が頬に感じる。
「うーん。まだ起きる時間じゃないんだけど。。。」
妙な感覚を感じたが、寝ぼけているため、また寝始める。
『ペロペロペロペロ』
また、妙な感覚を頬に感じる。なまじか香ばしい匂いもする。
「うーん、春が何かいたずらでもしてるのかなぁ」
まだ眠い翔は、今イタズラされていることよりも眠気が優っており、気になるが、布団から出たくなかった。
その後、妙な感覚は無くなり、しばらく2度寝を満喫していた。
しかし、突如お腹に重い感覚が襲い、顔には湿気を帯びた生暖かく生臭い匂いがしてきた。
「えっ、まさか、、、」
勢いよく起きてみると、目の前に愛犬のマロがお腹の辺りで座っていた。
「階段登って僕の部屋まで来たの???」
愛犬のマロは、コーギーであり、イギリスのエリザベス女王2世が生前特に可愛がっていた犬種である。胴長短足で、尻尾は幼少期に切られ、うさぎのしっぽみたいに丸くなっている。
「あっ、マロいた!!」
妹の春が勢いよく部屋に入ってきた。
「春がいたずらで部屋に連れてきたんじゃないの?」
翔は春がいたずらでマロを連れてきたと思っていた。
「違うよ。朝起きて1階のリビングに行ったんだけど、ゲージから居なくなって居たから、探してたんだよ。」
愛犬のマロはリビングのゲージからよく脱走する。大体、朝起きてくるとゲージの外で寝ていたり、風呂場にいたり、キッチンにいたりと何かとヤンチャである。でも家族は愛犬が大好きであり、あまり気にしてはいなかった。
ただ、今ままで一度も階段を登ってきた事はなく、まさかの事態であった。
「よく、階段を登ってきたなぁ、マロ?」
翔はマロに問いかけたが、マロは特に気にしている様子ではなく舌を出してこっちを見ていた。
「今日は高校の入学前オリエンテーションじゃないの?」
妹の春からそのように言われた。
「あっ、やべ、すっかり忘れてた。」
今日がオリエンテーションであった事をすっかり忘れていた翔は急いで1階に降りて行った。
「本当に、お兄ちゃんは抜けているよね。」
そんな事を春は言いながらマロも『うん、うん』と言った様子であった。
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