ネタ帳

夏伐

帰還求

 私は趣味で小説書いている。

 思いついたアイディアをメモして、家に帰ってから話の流れだけでも書きとめることにしている。


 そのメモを見かえしながら思いついたエピソードを書きはじめるが、たまに記憶にない走り書きや線を引かれて修正されている部分がある。


 消されている部分があるところは、確かにあると読みにくかったり必要ない部分だ。かわりに走り書きは意味のない単語ばかりだ。意味をなさない言葉ばかり。


 少し怖いが便利だと思っていたある日、メモを見たらページが真っ黒に塗りつぶされていた。


 仕方なしに今日思いついた分を書きとめようと次のページを見たら今度は走り書きまみれでぐっちゃぐちゃ。


 今回の走り書きは解読可能な感じだったが読んでいない。あるのは怖くないが、読めるのは怖いからだ。


 さすがの私でも、自分は記憶が消える病気なんじゃないかと不安になってしまった。

 だがそれ以来、変な走り書きもメモへの修正もない。


 少し残念だ。”それ”は私の話を読む最初の読者だったと思うから。

 

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